2009年10月 4日 (日)

『月下の恋人』

昨日は仲秋の名月であった。夜には雨も上がり、よき月に酔っ払いながら一句。
「十五夜に八つ当たりしてハイボール 思い出さずに見ていたいだけ」 ...うーん俗だなあ。などと駄目出ししながら今日も引き続きひたすら月見飲み。
月に因んで一冊、浅田次郎の『月下の恋人』(光文社文庫)を読む。タイトル買い。ほろりとする話、え?結局何だったの?的な気持ち悪さが残る話、奇妙に美しい話など11篇の短編集。浅田次郎っぽいです。「忘れじの宿」が好きかな。

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2009年9月23日 (水)

『Lady,GO』

桂望実の『Lady,GO』(幻冬舎文庫)を読む。地味で暗くて何事もネガティブに考えてしまい、自分にちーとも自信が持てず人の顔色ばっかり伺って生きてきた、自分嫌いの南玲奈。男にふられ、派遣先から切られ、進退窮まってキャバクラ嬢になり、場違いな職場でいろんな人たちに出会って成長したり少しずつ変わったりするっつう話。いちいちマイナス思考の玲奈に、これわたくしですか?ってくらいシンクロしてしまった...。まあその後の頑張りは俺にはないとこなんだがね。とりあえずキャバクラ嬢の営業努力というか成功のメソッドというか、結構勉強になります!何かと玲奈の世話をやくゲイのスタイリスト・ケイ(深沢あっちゃんを脳内キャスティング)がナイスキャラ。

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2009年9月 8日 (火)

『秋の森の奇跡』

林真理子の『秋の森の奇跡』(小学館文庫)を読む。タイトル、なんだか覚え難い。何不自由なく暮らしていた42歳の人妻が、親の介護とか兄との諍いとか夫への不信とか妻子ある男との恋とかで一気に人生が変わっていく、みたいな話。主人公の裕子がとにかく何もかも持ってる風なのが業腹...夫、子供、ハイソな生活、地位のある仕事、まだまだいけてる美貌、アンド恋人。だから介護という要素だけではちーとも同情できん!と思ってしまう己の小ささよ。しかしスーパーリアル庶民な主婦を描かれても、読む方はやっぱり乗れないのかな。ちょっと(いやかなり)上のクラースの方々ならそれなりに絵になるし。共感できなくてもね!でもまあ”不倫とか浮気じゃなくてちゃんと恋愛がしたい”っていう裕子の希望はわからないでもないし、こんな結末もアリっちゃあアリかなあと気弱に思いながらドロンします。

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2009年8月30日 (日)

『肝、焼ける』

朝倉かすみの『肝、焼ける』(講談社文庫)を読む。主に三十代女子の肝が焼けるさまを描いた短編集。何と言いますか、そこまで書かなくても...な、泥臭いとこもある。でもまあ実際女ってこんな感じなのだ、と開き直ってしまおう。「コマドリさんのこと」とか結構痛かった。痛さが自分と重なって、ほとんど近親憎悪。ああやだやだ、とまで思ううまさ。「一入」が良かった。現状維持もしくは保留を信条とする男と付き合い続ける肝の焼け具合...わかります!!朝倉かすみラブのトヨザキ社長が解説を書いているので、伝わりにくい魅力はそちらで読んで頂きたい、と投げてみた。

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2009年8月23日 (日)

『無銭優雅』

山田詠美姐さんの『無銭優雅』(幻冬舎文庫)を読む。むむむ。むむむ。やられた!姐さん、やれらましたよ完璧に。私はこんな恋愛小説が読みたかったのです。42歳という、主人公の慈雨ちゃんと同じ年で、今この時期にこの小説に出会えたのも更にシンクロできてよかったのかもしれない。これも運命!と思う。心中する前の心持ちで付き合い始めた慈雨ちゃんと栄の、ばっかみたいなのに年を重ねた者同士でなくてはこうはいかん恋の日々。うらやましい、すばらしい。この人たちは何がほんとうに価値あることか、かけがえのないものってなんなのか、わかってる。一緒に楽しんで味わって、片方の持っているものをもう片方が自然と吸収していって、どんどん無敵になっていく。そんなことが詠美姐さんにしか書けないであろうやり方と言葉で綴られている。私は本にマーキングする習慣はないんだけど、もしあったらばんばん赤線引いて本が真っ赤になっちゃうくらいにぐっとくる文章が目白押しなんだ。色恋沙汰だけじゃなくて、家族のことも曰く言いがたい愛情をもって大事に描いているのもすこぶる良い。慈雨ちゃんが語るように、老いることに引け目なんか、もう感じる必要はない。年を取ることに悲観的な友人にも絶対言ってあげたい。というわけで読み終わるや否やもう一度読み返している『無銭優雅』。年寄りにしかできない優雅を味わおうぜ、同胞よ。

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2009年8月 2日 (日)

『東京公園』

小路幸也の『東京公園』(新潮文庫)を読む。写真家を目指す大学生・圭司が公園で撮影している時に出会った家族連れ。奇妙な依頼を受けて都内の公園を転々としながら撮影を続けるうちに見えてくる、その家族のそれぞれが抱えている思い。そして圭司自身が気付く自分の気持ちや、彼を巡る人々の優しい視線。人と人とのもろそうでそうでもない強い関係を、小路幸也ならではの言葉で大事に丁寧に描く青春小説です。やっぱり小路幸也はイイ。登場人物みんなイイ。私は富永ちゃんになりたい。”私が好きな人たちみんなが幸せになれる方向へ”動けるような、富永ちゃんになりたい。何か毎日泣いてばっかり。

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2009年8月 1日 (土)

『夏の口紅』

樋口有介の『夏の口紅』(文春文庫)を読む。15年前に家を出た父親が死に、残された形見を受け取った大学生・礼司が、その意味と消息不明の姉の行方をさがすひと夏の話。樋口有介らしい、暑くてせつない夏の青春小説となっております。彼の描く男の子は、ちょっと皮肉の効いたしゃべり方で女性にもてて何か基本冷静でいつも余裕をかましている小憎い奴、っていうのが定番だが、礼司くんもその系譜。年上の恋人や一風変わったとびきりの美少女に翻弄されながらも結局最後のとこは曲げないんだよな。勝手気ままにやってるように見えても譲れない一本が通っているから、ひとのルール違反を許せないのもまあ説得力はあるか。ほんと可愛くない、けど憎めないのね。ちっ。

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2009年7月28日 (火)

『なんにもうまくいかないわ』

平安寿子の『なんにもうまくいかないわ』(徳間文庫)を読む。タイトル、まんま最近のわたくし。と思って読んでみたけど、こう呟く主人公の志津子さん(42)は実はとてもパワフル!バリバリ仕事して人脈も豊富、惚れっぽい割りに未だシングル、それでも情が深くて可愛い女。なんでもあけすけにしゃべっちゃうから”私生活のない女”とか言われているが、その正直さはいっそ気持ちがいいほど。台風のように周囲の人々を巻き込んでは困らせたり迷惑かけたり、でも憎めないキャラ故か志津子さんの周りはいつもなんだかんだ楽しそう。なんにもうまくいかないのが人生かもしれないけど、それでもちょっと元気付けられる。「人の気持ちがつながるのは、ほんの一瞬だけ。でもそれは確かにあったことで、そう何度もあることじゃない。だから、大切。」なんて言葉に、涙が出ちゃう。アラフォーの同士にそっとお薦め。

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2009年7月24日 (金)

『星間商事株式会社社史編纂室』

三浦しをんの『星間商事株式会社社史編纂室』(筑摩書房)を読む。青空をバックにすっくと建った社屋の写真に、全部漢字のおかたいタイトル、帯に「川田幸代。29歳。会社員。腐女子(自称したことはない)。社の秘められた過去に挑む!」そして裏には「社史編纂室でも同人誌を作ろう!」とあって購入を即決意。腐女子で同人誌、しをんちゃんでこのキーワードならきっとハズレなし、という予想は裏切られることはありませんでした。流石!社史編纂室という、いかにも左遷な部署のちょい癖ある面々が、駄目課長の下(というか何事にもつい真面目に取り組んでしまう幸代の采配で)社史を編むうちに会社の裏歴史を掘り起こてしまい...みたいな話。ぽよよん社員たちのすっとぼけた発言に、鋭くツッコむ幸代のひとことが笑えます。趣味を優先したいからと閑職に甘んじつつもとりあえず仕事はきっちりやり、勿論趣味にもがっつりのめりこむ幸代の生き様にぐっとくるね。嗚呼趣味があるってスバラシイ。自己肯定含め。

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2009年7月21日 (火)

『図書館の神様』

瀬尾まいこの『図書館の神様』(ちくま文庫)を読む。今までこの人の作品てちょっと正しくて良い子過ぎ?と勝手に思っていたことを心の中で謝る。本書はタイトルやなんとなくの粗筋からうっすら予想していた諸々を全部いい感じに裏切ってくれた。人生色々あるけど捨てたもんじゃない、とまとめるのは乱暴かね。でもそんなざっくりとした前向きな気分になれそうな本だった。そして文芸部の垣内くんのおかげで、”五感を刺激しまくった”文学に俄然興味が湧くこと請け合い!文学って実はめっさエキサイティングなんだね。あたし今高校生だったらぜひ垣内くんと付き合いたいわ...と思いつつ、オトナの俺様的には主人公の付き合っている妻帯者・浅見の一挙一動にきゅううんとしたり真剣に腹を立てたり泣きそうになったりバカ!って言ったりしちゃった。嗚呼オトナってやつは。

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2009年7月13日 (月)

『フライ,ダディ,フライ』

金城一紀の『フライ,ダディ,フライ』(角川文庫)を読む。ゾンビーズ、最高!の第二弾です☆鈴木一・47歳平凡なサラリーマンが、傷つけられた娘のために闘おうと頑張るひと夏の物語。そこにどうゾンビーズが絡むのか乞うご期待。実にイイ話っす!ゾンビーズの面々は傍からみたら単なる落ちこぼれの高校生だろうけれど、もれなくいい男だね。見た目や肩書きだけで判断することなく、真のいい男を見誤らないようにしたいものである。なんて自戒もあったりしつつ。疲れたおじさんたちは特に読むといいよ。忘れていたアツい気持ちを思い出したり、生きる勇気がわいてくるに違いない。

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2009年7月 6日 (月)

『レインツリーの国』

有川浩の『レインツリーの国』(新潮文庫)を読む。今更で誠に恐縮ですが、図書館戦争シリーズを読みたくなったほどツボだった!昔読んだ忘れられない本がきっかけで、メール交換から始まったひとみと伸行の関係。まずこの、好きな本について突っ込んで語り合える人の存在が超貴重!それがわかるわかるわかり過ぎる~な、わたくしとしてはとりあえずガツンと引き込まれた。ネットで知り合い、リアルの世界で逢うことになった二人がたどるその後は?的なラブストーリー。程度を比べることはできないけれど、誰しも他人に理解できない辛さを抱えている。そのことにどうやって向き合うか、どうやって他者の痛みを少しでもわかろうとするか、みたいなことを考えさせられた。もがきながらもきちんと気持ちをぶつけ合っていく二人に涙デスよ。恋っていいっすね☆

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2009年7月 1日 (水)

『スイートリトルライズ』

江國香織の『スイートリトルライズ』(幻冬舎文庫)を読む。江國か...と思ったが(嫌いなわけではないけど、どこか遠い国の話みたいな馴染めなさがありますねん)、「映画化決定・主演大森南朋」の帯だけで即購入。今や大森南朋は購買の起爆剤に?あくまでもわたくしにとってこの手の小説の醍醐味は、あーわかるわかる!っつう共感ポイントが多少なりともあることですが、何しろ江國香織の世界は遠いのでその辺はあまり乗れず。しかし対岸の火事的には実に興味深い。テディベア作家(...)瑠璃子と、ゲームばかりやっている二歳年下の夫・聡の、結婚生活の中でお互いに少しずつ重ねていく嘘。何か変で好かんたらしい夫婦...と思うも、じゃあどんな夫婦が普通なんだよと言われたらよくわからん。「恋をしているの。本当は夫だけを愛していたいのに」つう瑠璃子の言葉は自分勝手でしゃらくさいと思うが、これがなかなか言いえて妙かも。でも友達にはなりたくないタイプ。唯一親近感を持てたのは聡の後輩のしほちゃん。真っ直ぐさとパッションは買える。
で、これ映画化されたら観なくちゃいかんの俺?

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2009年6月25日 (木)

『Bランクの恋人』

平安寿子の『Bランクの恋人』(光文社文庫)を読む。いけてないけどもてるための努力を惜しまない男、はずれっ子ばかりを狙って付き合う女教師、恋多きゲイと恋愛下手な女子の友情、ミュージシャンの父とその娘のそれぞれの恋などなど、平安寿子っぽいいろんなかたちの愛が味わえる短編集。面白いし、ほろっとくるし、さすがにうまいー。どれも甲乙付け難し。

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2009年6月19日 (金)

『ダナエ』

今週のプチ・ニュース。五十嵐圭、日立からトヨタへ移籍!...え、どうでもいいすか?俺的には大ニュースなんだが。そういえばサッカーの陰で、案外全日本男子バスケは第1回東アジアバスケットボール選手権大会 兼 第25回FIBAアジア男子バスケットボール選手権大会 東アジア地区予選(長い!)を準優勝で通過してたりするんだよ...何故にこんなにもマイナー。寂しいっす。
さて本日は藤原伊織の『ダナエ』(文春文庫)を読む。もうイオリンの新刊は出ないのだなあとしみじみしながら読了。彼が残した珠玉の中篇三つは、いずれもちょっと頑固でへそ曲がり、しかしてハードボイルド臭のするおじさんたちが登場する。涼しそうな顔でわざわざ難儀な選択をしがちな彼らの行動なんかが、団塊親父たちの心を掴むのかしらとか思う。私は好きですけどね!

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2009年6月15日 (月)

『あなたには帰る家がある』

山本文緒の『あなたには帰る家がある』(集英社文庫)を読む。まあ隣の芝は青い、っつう話?ちょっとせつないタイトルが良いね。でも山本文緒なのでそれなりの覚悟で...。気を逸らせない上手さがあるのですが、うますぎて結構どろどろが辛いんすよ。主に二組の家族の話で、どいつもこいつも少しずつ好かんたらしくてむかっ腹。それぞれの言い分もわからないでもないところがまた困る。結局どこの芝だって青いだけじゃないハズなのに、やっぱり隣の青い芝はいつまでもうらやましいのかも。

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2009年6月12日 (金)

『さよなら』

20年前に愛読していた、吉元由美の『さよなら』(マガジンハウス)を久しぶりに読み返す。コピーライターのアシスタントをしている奈央ちゃん(24)と、カメラマンの若山さん(33・妻帯者)の恋、ってそれだけでもうバブリーな時代の業界臭がしてくるでしょう...。しかし!こんな設定なのに?イガイにも浮ついたところのない、結構泣きどころ満載の落ち着いた恋愛小説なんだよー。いまだに泣けちゃって参ったよ。ううう。まあ若山くん、結局ろくでなしなんすけどね。でも何か憎みきれないとこがズルイ。あとストーリーとは関係ないが、携帯電話がない時代の恋愛て大変だったろうなあ...ってもう忘れちゃったけど(←あまりに昔すぎて)しみじみ思った。手紙でやりとりなんかするのは今となれば逆に新鮮~。あれはあれで良い時代だったのかな。

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2009年6月 9日 (火)

『オトナの片思い』

11人の作家によるアンソロジー『オトナの片思い』(ハルキ文庫)を読む。アンソロジーってとっちらかってる感じがしてあんまり好んで読まないのだが、でもそんなところがアンソロジーを編む意味なのかもと思い直す。タイトルに惹かれて買ったけど、結構いろんなタイプの片思いを読むことが出来て素直に面白かった。栗田有起、山田あかね、角田光代の作品が良いな。わわわわかる!!的な妙齢女子のこんな片思い。こっそり恋心を抱えて日常を暮らすのも悪くない、と思う。

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2009年6月 8日 (月)

『ハゲタカⅡ』

真山仁の『ハゲタカⅡ』(上下巻・講談社文庫)を読む。のっけから衝撃的で悲しい事件勃発、思ってもみない辛い幕開けにちょっぴりくじけそうに。前作の登場人物たちの状況もずいぶんと違っている様相で、相変わらず飽きさせない展開。よりスケールの大きな、魑魅魍魎の跋扈する話となっております。TOBとかやっぱりあんましよくわかんないけど、でもまあ諸々ねじ伏せる面白さ。外資でギラッギラな男なのに、確かに持ってるサムライ魂が鷲津さんの魅力ね...嗚呼やられっぱなしどす。録画しておいたドラマの残りを見てから映画に臨みたい。

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2009年5月31日 (日)

『1Q84』

土日かけて村上春樹の『1Q84』(BOOK1・BOOK2/新潮社)を読み続け、やっと読了。最後の方はなんだか飲まずにいられなくなり、よって今酔っ払い。読んでいる間は浮世の諸々は何も考えず、ただひたすらこの世界に浸るだけだった。ちょっとまだ戻ってこられない感じ。村上春樹の長編を読むとまあだいたいそんなふう。そして何もうまく言えないて、とりあえず一人酔っ払いながら反芻。嗚呼。

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2009年5月26日 (火)

『初恋温泉』

温泉行きてえ~!と叫びながら吉田修一の『初恋温泉』(集英社文庫)を読む。温泉を訪れる男女のお話5つ。例えば「初恋温泉」は、離婚の危機にある夫婦が熱海の温泉に行く話。相手には”自分が一番幸福な瞬間を見せたいって思う”男と、”いいときしか私に見せてくれない”と不満な女、自分なりに相手を幸せにしたいと思っているのにこの違いが溝を作っていくのだなあ、とせつなくなる。「白雪温泉」の夫婦にもうるっとしたし、「ためらいの湯」のままならぬ二人にもちょっと泣く。油断してると何気ない一文にがしっと心臓をつかまれてぐわんぐわん揺さぶられる。あ、アタシどうやら弱ってるみたいね。

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2009年5月24日 (日)

『ハゲタカ』

今更ですが真山仁の『ハゲタカ』(上下巻・講談社文庫)やっと読了。おもおもおもしろかったー。正直、投資ファンドからしてよく飲み込めてなかったんだけど、いちいち用語がわからんとかもあったんだけど、途中からそんなことはどうでもよくなるね。ていうかなんとなくわかったような気になってくる感じ?とにかくニューヨークからやってきた所謂”ハゲタカファンド”のホライズン・キャピタル社長・鷲津(当然大森南朋を思い浮かべながら読む)がかっちょいい~。にこやかに微笑みつつ日本を買い叩く非情のライセンスぶりに、なんだか胸がすかっとします。大銀行があたふたするさまを見ているともう溜飲が下がりまくり...。そんな暗い喜びも確かにあるがそれだけじゃなく、鷲津の冷酷非情さの裏に意外にも何かと見え隠れするサムライの心にぐっときたりもするんだな。さっ、『ハゲタカⅡ』を買いに走るぜ!

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2009年5月19日 (火)

『妖怪アパートの幽雅な日常①』

香月日輪の『妖怪アパートの幽雅な日常①』(講談社文庫)を読む。13歳で両親を失った稲葉夕士が高校入学とともに入居したアパートはちょっと変わった”妖怪アパート”だった...なんて話だと子供向けファンタジー?と思うでしょ。がっ、予想に反して擦れた大人が読んでも結構素直に楽しめるんだよ、これが。生き方や自分の在り方に悩みもがく少年と一緒になって、アパートで出会う人間や妖怪やもののけたちの言葉に耳を傾けると、何やら真摯な気持ちに...。シンプルで真のある言葉に目から鱗がぽろぽろよ。色々あるけど人生は長く世界は果てしない、わたしも肩の力を抜いていこうと思ったことです。あとこのアパート、賄いつきなんですけど、ご飯がいちいち美味しそうだった。おなかすきました。

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2009年5月17日 (日)

『主婦と恋愛』

藤野千夜の『主婦と恋愛』(小学館文庫)を読む。かわゆらしい装丁とシンプルなのに奥深そうなタイトルにひかれましてん。サッカー好きの夫に付き合ってワールドカップを見に行って以来、ちょっとずつ知り合いが増えたりする中で今までと違った気持ちが芽生え始めるチエミ。彼女の微妙な心の動き、ちょっとわからんでもない。ここんちは一見何も気にしなさそうな夫が時折繰り出すわかり辛いジャブのあたりが多少めんどくさそうだけど、この程度の距離感がいい夫婦かもなと思ったりした。

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2009年5月15日 (金)

『みんなの秘密』

珍しく林真理子、『みんなの秘密』(講談社文庫)を読む。妻・夫・昔の彼女・母親・娘・情事の相手などなど、秘密を抱えた人たちの言い分や心情。そこには特に感動はないのだが、人間っつう動物のどうしようもなく下世話なところなんかがひじょおおおに巧みに描かれており、負けずに下世話なわたくしは結構興味津々で読んだざます。嗚呼この人って私かも...といやいやながら思い当たることもあり、俗物な己にガッカリだ。

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2009年5月 5日 (火)

『ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶』

大崎善生の『ドイツイエロー、もしくはある広場の記憶』(新潮文庫)を読む。前に読んだ『九月の四分の一』が男子側からの恋愛小説だとしたら、こちらは女子側。ともにおセンチではあるな。主人公の女子たちが、揃いも揃って、何故にこんな男を好きになるか...というだめんずばっかりなのも作者の好みか?ちょっとわたくしにはわからない感覚の持ち主ばかりであった。恋愛小説というのは本当にむつかしいものよのう。

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2009年5月 4日 (月)

『夜の公園』

川上弘美の『夜の公園』(中公文庫)を読む。35歳の専業主婦・リリ、その申し分のない夫・幸夫、リリが夜の公園で出会った9歳年下の青年・暁、リリの親友・春名、四人の男女がそれぞれの関係を抱えながら語るそれぞれの言い分。おそらく恋愛小説、でも幸せな感じよりもなんだか哀しくなるほうが多かった。感情移入というのではないだろうが、登場人物たちのふいに湧き上がる強い思いに揺さぶられて時々泣きたくなった。この、ふいの感情を描くのがなんともうまいぜ川上弘美。あとリリ(不思議ちゃん?)と春名(あばずれ)の、女子特有の微妙な関係がすっごくツボだった。お互いを好きなのか憎いのか...みたいな。女子はめんどくさいのだ。

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2009年4月29日 (水)

『男は敵、女はもっと敵』

今週はまたまた活字ジャンキー同好会があり、メンバーに刺激されて忘れかけていた読書熱が再燃した次第です。ゴールデンウィークはほったらかしの本をばんばん読むぜ。禁酒!(無理)
というわけで本日は山本幸久の『男は敵、女はもっと敵』(集英社文庫)を読む。恋愛絡みの自己啓発本みたいな表紙とタイトルのせいで絶対ハズしそうにみえるんだけど、山本幸久は絶対ハズさないから!と言い切る。とにかく登場する女子がイイっす。男前なのに可愛い、この絶妙なさじ加減。仕事も一所懸命で恋にもまっすぐ、でも時々すっごくバカなことをするいとおしさ。解説の人が書いているように、著者はどう考えても男名前なんだけど女としか思えんほどに女子の書きっぷりが素晴らしい。勿論男子も魅力的だよー。登場人物たちがそれぞれの視点で語るとまた違った人物に思えてくるのも面白い。藍子36歳に私は惚れたね。

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2009年4月14日 (火)

『九月の四分の一』

大崎善生の『九月の四分の一』(新潮文庫)を読む。4つの短編はどれも40男が旅に出たりなんかして青春時代の恋愛とかを振り返ったりする、みたいな割とセンチメンタルな仕上がりになっております。やや「けっ」と思っちゃうような女子ばっかりなのは作者の好みなのだろうか。きょうび、男子の方が案外おセンチなのかも、と思いながらあっさり読了。ぐっとくる恋愛小説に巡り会うのは相当難しいものだ。

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2009年4月13日 (月)

『疾風ガール』

誉田哲也の『疾風ガール』(光文社文庫)を読む。主人公の”疾風ガール”は、キュートなルックスと天才的なギターの腕前を持つ夏美(19)。バンドのメンバーの死に直面した夏美が、彼の真の姿を探そうと旅立つ。その果てにある真実に彼女はどう立ち向かうか?的な、ロックでガーリーな青春小説。落ち込むことも弱さも勿論あるけれど、結構骨太で最高に凛々しい、天辺目指してすっくと立つ夏美がめっさ格好良い!誉田哲也は女子を描くのがウマイね。続編もあるみたいで楽しみ。

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2009年4月 7日 (火)

『センチメンタル・サバイバル』

平安寿子の『センチメンタル・サバイバル』(角川文庫)を読む。フリーターのるか(24)とバリバリのキャリアウーマンの龍子叔母(40代後半)、世代も考え方も違う二人の同居生活を覗いてみました的な小説。叔母と姪、親と子、姉と妹、職場の人々などが何か食べたりお茶飲んだりしながらひたすらおしゃべりしているので、発売当初はディスカッション小説と言われたらしい。パワフルな龍子叔母の発言は時々パワフル過ぎてちょっと引いちゃうこともあるけれど、私とは年代も近い故に肯けることも沢山あってかなり愉快。”何かに夢中にならないのは、生きてないのも同然だ”っていう言葉に一番ぐっときた。やっぱり生きてるみたいに生きていたいね。

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2009年3月29日 (日)

『食堂かたつむり』

売れている本を今更読んでみようシリーズ。小川糸の『食堂かたつむり』(ポプラ社)を読む。恋人に家財道具一切合財を持っていかれ...という冒頭部分で、なんでそのままぼーっと故郷に帰るんだこの娘は!?泣き寝入りか!?などと憤ってはいけない。まあそんな人もいるのね、くらいにスルーして。つうわけでおばあちゃんのかたみのぬか床だけ持って(これしか残さんのか...ほんとに鬼だな!とまた怒る)田舎に戻り、食堂を開く女の子の話。食堂を作っていく過程とか、土地の野菜や果物を使った料理の描写なんかがとにかく楽しい!料理が好きじゃない私でも読んでいるだけでうきうきしてしまう。普段あんまり意識しないけど、季節のものをきちんと食べるとか、横着しないでひと手間かけた料理を作るって案外大事なことだなあとまたまた思う。そしておいしいものは、好きな人と一緒に食べたいね。そんなことを含めて終盤の展開がなくても十分いける話だと思うんだけど...。

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2009年3月 8日 (日)

『一千一秒の日々』

島本理生の『一千一秒の日々』(角川文庫)を読む。青臭い恋愛小説を読んでみようじゃないの、と高をくくっていたら結構な勢いでなぎ払われた。『ナラタージュ』の時もそうだったけど、この娘案外やるのよねー。ちょっと若い世代の恋愛を描いた連作短編集ですが、登場人物たちが今どきの若い子っぽくないっていうか(失敬)、意外とまっとうだったり浮ついてないなあと言った感想。世代を超えて楽しめると思う。でぶっちょの針谷くんと小悪魔美少女の話がすっごく好きだった。イイね。

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2009年2月23日 (月)

『声だけが耳に残る』

山崎マキコの『声だけが耳に残る』(幻冬舎文庫)を読む。ううむ、さすがに幻冬舎...山崎マキコなのに乗れず。とりあえず幻冬舎のせいにしてみた。ストーリーを説明するのもキツイ、アダルト・チルドレン物。もうほんと苦しくてキツイんですよ痛いんですよ。こうゆうの、引きずられ易いんですよ私。苦手な題材なんだけど、それでも読み通せたのは確かに著者の力量だと思う。どうにもダウナーな状況の中でも意外と冷静に自己ツッコミをする、その独特なユーモアにちょっと笑っちゃいながら、でも笑い飛ばすまではいかない感じ。うまいです。うまいからこそのこのキツさなんす。嗚呼。そんな一冊。

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2009年2月21日 (土)

『40 翼ふたたび』

石田衣良の『40 翼ふたたび』(講談社文庫)を読む。”人生終わりと思っていたら、40歳が始まりだった”という衣良手書き風帯の文句が40代にはキラキラ光って見えるよん。大手広告代理店を辞め、よろずプロデュース業を始めた喜一(40)。人生の良い方の半分が終わってもうたと投げやりな日々であったが、彼の元を訪れる40代のワケアリな依頼人たちと関わりあううちに正に40歳から始まる新しい局面が見えてくる。ゆ、夢物語!?としか思えん展開だったりするけれど、夢くらい見させて下さいよーとも思うわしらにとってはうってつけかも。「仕事だけには懸命になるが、本は読まない映画は観ない音楽はきかない、文化砂漠のような場所で生きている」(by衣良)40代男子は読むといいよ。おじさんばかりの中、歌舞伎座の裏にあるからという理由で喜一の事務所を選んだ、歌舞伎好きの事務の女子が可愛かった。その志望動機は正しいと思う。

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2009年2月15日 (日)

『凸凹デイズ』

山本幸久の『凸凹デイズ』(文春文庫)を読む。たった三人のデザイン事務所・凹組を舞台にしたお仕事小説は、山本幸久らしい楽しさに満ちており時々ほろり、でも最終的には元気が出る話に仕上がっております。新米デザイナーの凪海(22)は、天才肌の黒川&律儀で仕事が丁寧な大滝っつう二人のおじさんとともにスーパーのチラシやエロ雑誌のレイアウトに勤しむ日々。そんな弱小事務所に舞い込んだ初めてのでかい仕事、どうなる凹組??みたいな話。仕事って、食っていく為にやるものだっていう一面も勿論あるけど、それだけじゃない、人と人との繋がりとか一緒にひとつのことをやる上での絶対的な信頼とか一体感とかそーゆう大事なものが確かにあるんだよね!と青臭く思い詰めてしまった。どんな職場にも色々あるけれど、そーゆうことを感じられない人はかわいそうだ、と思うことにした。かわいそうだなんて不遜だが、そうでも思わないとやってけないほどに凹々なわたくしなんで。何かいいよ、山本幸久。解説職人・しをんちゃんの解説もすこぶるいいよ。

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2009年2月11日 (水)

『喋々喃々』

小川糸さんの『喋々喃々』(ポプラ社)を読む。『食堂かたつむり』が大層読まれているらしい著者の二作目だけれど、食堂の方は未読。何かで本書のあらすじをちらっと読み即買いを決意、読んでみて己の嗅覚にうっとり。って自分褒めかい。いやそれくらい自分の好みにしっくりきた本だったので。谷中でアンティーク着物店を営む栞は、客としてやってきた春一郎と恋におちる。谷根千辺りを舞台に二人の仲はゆっくりと静かに深まっていくが、これは先の見えない恋なのでありました...少しずつ縮まる距離とか会いたくてもままならない感じとか一緒においしいものを食べる幸せとか、もうそんなことでいちいち泣けた。ううう。湯島天神で梅を愛でたり、向島百花園の月見の会など落ち着いたデーティングもイイ。正直この春一郎という男子にはあんまり魅力を感じないんだけど(キリン似だからか?私はギンポ似派だもん)、その代わり?いなせなじいちゃん・キュートなばあちゃん的な登場人物が脇をしっかり固めていて言うことなし。日本の文化や四季折々の行事などを自然と大事にしている栞の暮らしも好いたらしく、彼女の着物の着こなしを読むのも実に楽しい。装丁も品がある。おお、春一郎以外はベタ褒めだ。

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2009年2月 7日 (土)

『愛がいない部屋』

石田衣良の『愛がいない部屋』(集英社文庫)を読む。神楽坂の高層マンションを舞台に、老若男女様々な生活と思いを抱えた人たちの、それぞれの愛を描いた短編集。あっさり読めるけれど、『ホームシアター』や『落ち葉焚き』のような、はっとするほどに揺さぶられる話もあって流石にうまい感じ。神楽坂っつう場所がまたイイなと思いました。

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2009年2月 1日 (日)

『まほろ駅前多田便利軒』

三浦しをんの『まほろ駅前多田便利軒』(文春文庫)を読む。第135回直木賞受賞作。東京のはずれ、まほろ市で便利屋を営む多田と、そこへ転がり込んできた高校時代の同級生・行天の、何かと面倒でなんとなく静かとは言えない日々。さほど若くない彼らがそれなりの過去を抱え、人と適度な距離をとりつつも時に不器用ながらやっかいごとに切り込んでいったりする。全然仲が良いとは言えないし決してきらっきらした友情の話でもないのに、なんだかこーゆうとこ男同士っていいなあと思えてしまう。脇の登場人物も皆味わいがあって好き。

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2009年1月28日 (水)

『初恋』

中原みすずの『初恋』(新潮文庫)を読む。40年程前、若者たちが権力に抗い、学生運動やデモに参加して、ジャズ喫茶でたむろしていたあの時代。愛に見放された少女は何故三億円事件に関わったのか、みたいな話。昭和なしゃべり言葉が、ふうんと言った感じです。美しく賢い東大生・岸君なんてばもうちょっと頑張れば萌えどころもあるキャラだろうに、なんとなく乗れず。本も薄いが中身も...と言ったら多分言いすぎよね。読後、録画しといた宮崎あおい主演の映画版もちょっと観たけど、何か暗くて途中で挫折。ぐだぐだで御免。

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2009年1月23日 (金)

『ガール』

奥田英朗の『ガール』(講談社文庫)を読む。働く女子のことが何故こんなにわかるんだ奥田英朗...と感心することしきりの短編集。社内で初の女性課長となった総合職女子、マンションを買おうと一大決心する独身OL、営業職で頑張るシングルマザー、ひと回り年下イケメン新人の教育をすることになったOLなど、皆色々悩みながらもいきいきとしており、その姿は女子なのにおっとこまえーであったりします。特に表題作の『ガール』はイイ。おいらも生涯一ガール!の気骨で楽しまなくちゃ、と思ったことだよ。

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2009年1月13日 (火)

『ためらいもイエス』

山崎マキコの『ためらいもイエス』(文春文庫)を一気読み!やー、やはりいいっす山崎マキコ。仕事一筋の29歳女子に突然訪れたモテ期!恋に不器用な、つうかほとんど経験のない奈津美が、悩んだり迷ったりしながらも棒に振った青春を取り戻すが如く恋愛沙汰に向き合っていく。仕事だけをしていたい!っていう男気溢れる、しかしてなんともいえない可愛さを持つ奈津美もイイが、後輩女子の青ちゃんが更にナイスキャラ!後輩史上最強の青ちゃん、ぜひとも会社に一人は欲しい人材だぜ。もしかしたら人生ずーっともててたよんていう女子にはあまりぴんとこないストーリーなのかもしれないが、暗い思春期を過ごしたわたくしにとっては母親との微妙な関係も含め(こんなに極端ではないにしても)いろんなとこで共感...。ラストは不覚にも涙したよ。俺も姫って呼ばれたいよ。

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2009年1月 4日 (日)

『モダンタイムス』

謹賀新年。三が日はノーパソコンデーで、大事にとっておいた伊坂幸太郎の『モダンタイムス』(講談社)をひたすら読む。”検索から、監視が始まる”と帯にあるとおり、知らないことがあるととりあえず検索するわしらにとってはなんとも薄ら寒くて怖い物語となっております。しかし面白くてもうだらだらとずーーーーっと読んでいたい。かなりの長編だけどページが減っていくのが勿体無い。色んな言葉が心に残る。システムなんかに負けてたまるか、と小さな声でつぶやいてみる。

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2008年12月23日 (火)

『彼女について』

よしもとばななの『彼女について』(文藝春秋)を読む。いしいしんじさんが先日のトークショーにて本書を絶賛しており、よしもとばななは自分では意識してないかもしれないけどダントツである種の高みに到達しているみたいな事を言ってて読んでみる気になったもの。好きな人の言うことはよく聞くおさるです。過去に辛い出来事が何かあって色々抱えているっぽい設定は『みずうみ』と似通ったものがあるが、この決着のつけ方には吃驚だった。例によって全くうまく言えない。でも読んで良かったと思うのは確か。

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2008年12月 9日 (火)

『みずうみ』

よしもとばななの『みずうみ』(新潮文庫)を読む。読後、小説の世界からなかなか抜け出せないどっぷり感。いつまでも引きずられている気がする。母親を亡くしたばかりのちひろと、深く傷つき何か特殊な状況を抱えている中島くん。重いけれども、丁寧に注意深く書かれているためか読んでいると浄化されていく感じ。って全然うまく言えない。よしもとばななの小説の感想を書こうとする時、感想を書くということがひどく無意味に思える。

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2008年12月 3日 (水)

『眠れぬ真珠』

石田衣良の『眠れぬ真珠』(新潮文庫)を読む。45歳の版画家・咲世子と、17も年下の映像作家・素樹との恋を描いた恋愛小説。うーんあざとい!しかしうまい。何といいますか、これは多かれ少なかれアラフォー女子が密かに夢見る理想の恋愛では?と思うのはわたくしだけでしょうか。適度に金持ちっぽくて小洒落た逗子というロケーション、素敵度は高いけれどその実態はあまり知られていなさそうな版画家という職業、咲世子の服装や車に至るまで、いかにも過ぎないけどただ者ではない感じがにじみ出るっつうさじ加減が衣良っぽい...。特に男子の綺麗な手に惹かれるあたりなんて、女子感覚だよなーやるなーと思いました。まあ更年期で諸々ガタがきつつある女をここまで好きになってくれる年下男子なんて現実にあんのか!とも思うけど、あったらいいな♪と思わせる、ある意味ファンタジーですかね。つうかハーレクイン?でもあんまり恋愛小説読まないのでとにかく新鮮であったよ。たまにはいいかも。

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2008年11月10日 (月)

『推定少女』

桜庭一樹の『推定少女』(角川文庫)を読む。ある事情から逃亡者となったカナ(15)は、ダストシュートの中で凍った美少女・白雪と遭遇する。銃なんか持っちゃっていかにも怪しげな白雪と共に秋葉原を目指すカナ。少女たちは何から逃げ、何処へ行き着くのか?みたいな話。とっつき悪かった...。ミステリ?と思いきやSF?一体何のドタバタ?と、この定まらなさにぶつくさ言っているうちに、それでもいつしかはまっていた。よくわからんけど色んなことに絶望して未来が見えなくて自意識過剰でもがくばっかりで悩みがつきなかったダメな中坊だった自分をちょっと思い出した。なのに、あの年頃って楽しそう、何にも悩みがなくていいわよね、なんて言う大人になってそうだった。白雪に撃たれても仕方ないな。桜庭一樹的『おしゃれ泥棒』みたいな本だった。中森明夫よりキツい感じがしたのはやっぱり女子が書いたからかな。比べるのも変だけど『おしゃれ泥棒』の方が私は好き。

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2008年11月 5日 (水)

『さがしもの』

角田光代の『さがしもの』(新潮文庫)を読む。著者の作品はそんなに読んでないんだけど、私の中で角田光代の最高傑作と位置付けた!本を巡る短編集で、とにかく全篇良い。あとがきエッセイに至るまで、本が好きな人ならばどこかに必ず共感できたり、鷲掴みにされる箇所があると思う。特にきゅううんときたのが「彼と私の本棚」、わかる!わかるで。本好きの男子に新しい彼女が出来た時、つい「その子、本読むの?」とか私も聞いてしまうよ。そんなん聞いてどうする?と思うけど聞かずにはいられないのよ。他にも「開くだけでどこへでも連れてってくれるものなんか、本しかないだろう」「この本が存在するのとしないのでは世界はだいぶ違うだろう」「知識なんかなくたっていい、私を呼ぶ本を一冊ずつ読んでいったほうがいい」などなど、ちょっとした一文にいちいち打たれた。これも私を”呼んだ本”なのね。

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2008年10月29日 (水)

『三人の悪党』

浅田次郎の『三人の悪党 きんぴか①』(光文社文庫)を読む。このシリーズは案外未読で、敬愛する先輩に薦められるも勿体無くてなかなか着手できなかったもの。しかし一旦始まってしまうと、個性が強く粒ぞろいのキャラ・多少強引なくらいの勢いある展開にすかっとさせてくれるオチ・おもしろうてぐっとくる浅田節の心地よさにしびれまくり!元やくざのピスケン、元自衛隊員の軍曹、元政治家秘書のヒデさんという、一見共通するところの全くない三人が徒党を組んであれやこれやとブチかます。ちょっと世間からはみだした、しかして筋の通った男たちのまっつぐな生き様にがつんとやられて、二巻も即買いに走る。今更ですが読んで良かったっす、先輩。

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2008年10月 5日 (日)

『レヴォリューションNO.3』

『24』のシーズン到来☆例によって日々寝不足が続いている。ふらふらだが、おもおもおもしろいっす。今回もすごいっす。そんなわけで諸々滞り気味。
金城一紀の『レヴォリューションNo.3』(角川文庫)を読む。これはイイ!ざっくり言えばおちこぼれ男子高の男の子たちが「世界を変える」ため、行動する物語。その行動というのが、難攻不落のお嬢様学校の文化祭に潜入を試みたり、女子に頼まれてストーカー退治に乗り出したりするっつうものなのだが、端から見るとバカで無謀な作戦だとしても、彼らにしかできないやり方でしかも筋が通っており、その姿はとってもかっちょよく見える。つるむのは嫌い、でも友を想う気持ちは揺るがない。勉強のできる奴らが支配する世界に風穴を開けんとす彼らの名は「ザ・ゾンビーズ」。痛快で愉快で時々胸が痛くなる、彼らの物語から目が離せない。あー男子っていいなあ。

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2008年9月 3日 (水)

『角』

ヒキタクニオの『角』(光文社文庫)を読む。突然アタマに角がはえてしまった女子のお話。え、なんで角!?という謎の角を巡るあれやこれやもメインだが、主人公・麻起子が働く出版社の校閲部での仕事に興味津々。校閲ってこんな突っ込んだことまでチェックするんだ!と感心したり、編集者や小説家との攻防戦に吃驚したり。「日本語は我々潮光社校閲部が守る!」っつう矜持で仕事に向き合う校閲部の面々の何だかかっちょいいことったら(つい多用してしまうこの「何だか」も校閲対象になるらし)。言葉を大切にする現場を垣間見られたことが面白かった。最後までいちいちイガイな展開も飽きさせず。ヒキタクニオの描く女子はキュート且つしゃんとしてて結構好きよ。

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2008年8月25日 (月)

『厭世フレーバー』

三羽省吾の『厭世フレーバー』(文春文庫)を読む。リストラされた父親が突然失踪してしまった須藤家の、残された家族それぞれの思いと秘密を描く。酒びたりになる母42歳、ボケはじめるおじいちゃん73歳、一家の長として俄かに張り切る長男27歳にむつかしいお年頃の17歳長女&14歳次男。状況は暗いし悩みはつきないけど、結構あっけらかんとした感じ。家族小説、なんだけど、角田光代さんの解説を読んで目から鱗が。なーるほど、確かにでかい話だ。って、解説読まないとわからんのか。まだまだな俺様だ。

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2008年7月18日 (金)

『海辺のカフカ』再読

村上春樹の『海辺のカフカ』(上下巻・新潮社・文庫版もあり)を久しぶりに読む。どっぷりハルキに浸るのも夏休みっぽいかなーと思って。一旦読み始めると日常に戻るのが難儀になるほどに、独特なあの世界は唯一無二のものでありましょう。結局のところ何が何だか...感もあるのですが、そおゆう世界もアリってことで。世の中は広く、人の心は更にフクザツでわからないものなのだ、たぶん。タフにならざるを得ない15歳の田村カフカ君の人生や、理知的で素敵な大島さんのこと、ナカタさんとホシノくんの珍道中なんかを反芻しながら、この本が出た頃に村上春樹好きの友人に貰った「大公トリオ」をずっと聞いている。嗚呼にっぽんの夏。

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2008年7月12日 (土)

『ジャージの二人』

長嶋有の『ジャージの二人』(集英社文庫)を読む。タイトル絶品!この人の本は常にタイトルがすげえと思っている。ブルボン小林名義の『ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ』なんて最高峰。読んでないけど。
本書はなんと映画化で、表紙は鮎川誠と山南さん(えーと本名はなんだ?笑い顔で喜怒哀楽を表すっていう。東京オレンジの。ああ堺雅人だっけ?でも面倒だから今後も山南さんで...みたいな感じで本名を思い出し辛い人)の写真。勿論二人ともだっさいジャージでインパクト大。このカップリングならば買わないわけには...ナツイチbeeも欲しいし☆的に読んでみた割には良かった。親子が北軽井沢の山荘でだらだら過ごすってだけの話。とりたてて何も起こらなくて、これは文章とか会話とか言い回しとか単に読むことを楽しめる一冊だと思う。しみじみもじーんともしないけど、”なんかこう”悪くない。味がある。しかしこの何もなさをどうやって映画に?それを確認する為にも観に行くかも。

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2008年7月 9日 (水)

『対話篇』

金城一紀の『対話篇』(新潮文庫)を読む。金城一紀に関しては『GO』で止まっていた為、正直驚いた!こんなにもスリリングでへんてこなのに味わい深い小説を書いていたなんて。見過ごしていた自分に喝。本書に収められた3篇はいずれも題材としては決して明るいものではないけれど、対話を通してみえてくるものにいつしか静かに救われている。目に痛いくらいの白くシンプルな装丁がこれ以上ないってくらいにこの本にはぴったりで、読み終わった今それは神々しいまでに輝いている。

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2008年6月28日 (土)

『さくら』

売れている本を今更読んでみようシリーズ。今回は西加奈子の『さくら』(小学館文庫)。売れている本を今更ながら読もうとするにはそれなりのきっかけがないとなかなか動けないもので、本書は友人が絶賛し今年のナンバー1と決めていたから。実はどこかで泣けるという紹介をされていてちょっと敬遠していたんだ。泣ける本ていう薦め方はアレだね、って自戒を含めて思う。とにかく、スバラシイ家族小説!家族って確固たる強い絆があるようだけれど案外もろかったり、ばらばらになりかけても意外とひょんなことから復活したり。それはシアワセな時代も辛い日々も一緒に過ごしてきた家族だから出せる底力、なのかな。物静かだが皆を包むようなお父さん、明るくてずっとお父さんに恋するお母さん、みんなのヒーローであるお兄ちゃん、頑固で強くて美しい妹、そして犬のサクラ。まんなかの僕が語る長谷川家の日々は、キラキラしていていつもあったかく、絶望的に悲しくて悲しくてどうにもならないことが起こっても静かに薄く光が見えてくる感じ。嗚呼世界は美しくて貴いのですね、お父さん。

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2008年6月25日 (水)

『クライマーズ・ハイ』

売れている本を今更読んでみようシリーズ。横山秀夫の『クライマーズ・ハイ』(文春文庫)を読む。これは凄かった!久しぶりに会社を早退しようかと思ったくらい先が気になって仕方がなかった。1985年に起きた未曾有の航空機事故を巡って地元紙の記者たちが過ごした凄まじく暑い数日間。仕事、誇り、栄光、挫折、嫉妬、家族、友、様々な要素がこれでもかと濃く描かれ、その濃密さは時々息苦しくなるほど。ギリギリのところで闘う男達が時にぶざまであり時に凛々しくもあり、その全てに泣けてきた。地方紙のサクセスものかと思いきや、予測がつかない展開に度肝を抜かれっぱなし。すげえな横山秀夫。これを読まずして横山秀夫は語れないと遅ればせながら思った次第です。勿論映画も観に行きます!

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2008年6月 2日 (月)

『はなうた日和』

『笑う招き猫』でお馴染みの山本幸久『はなうた日和』(集英社文庫)を読む。世田谷線沿線を舞台にした、ごく普通の人々のちょっとした時間を切り取った短編集。とうのたった売れないアイドル、特撮ヒーロー好きのオタクリーマン、バツイチお母さん、金髪新入社員、悩める少年などなど、冴えないながらもそれぞれみんな一所懸命。そこにあるちょっとしたシアワセに、読んでるワタシもふんふんふんとはなうた日和。イイね~山本幸久。世田谷線もなんだかイイね~。世知辛い毎日に潤いの一冊を是非!

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2008年6月 1日 (日)

『夜市』

恒川光太郎の『夜市』(角川ホラー文庫)を読む。第12回日本ホラー小説大賞受賞作。手に入らないものはないという不思議な夜市で、あるものと引き換えに野球の才能を買った少年の話。その取り返しのつかない感じが相当怖い。静かで抑えた文章がかえって恐怖を増す。日常の片隅にぽっかり空いた異形・異界への入り口のようなもの。それは案外そこかしこに存在するのかもしれない...っつう怖さに密かにふるふるです。でも他の作品も読んでみたい。これぞまさに怖いもの見たさか。

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2008年5月29日 (木)

『くうねるところすむところ』

平安寿子の『くうねるところすむところ』(文春文庫)を読む。仕事にも恋愛にも行き詰まった30女・梨央は、偶然出会った鳶の徹男にひとめぼれ。彼にひかれるようにして建築業界へ飛び込むも、何もわからない世界で様々な壁にぶつかる。それでも愛とガッツで自分なりに道を切り開いていく様は凛々しくて清々しい。「家」を建てるということは施主にとって人生を懸けた大イベントであり、そこに関わる建築という仕事の素晴らしさが愛情を以って丁寧に描かれているのがとても良いと思った。ええ話よ!

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2008年5月16日 (金)

『風味絶佳』

山田詠美さんの『風味絶佳』(文春文庫)を読む。”恋と人生の妙味が詰まった小説6粒”とは裏表紙の紹介文であるが、まあそんなふう。赤いカマロに若いボーイフレンドを乗せて走るかっちょいいグランマ登場の表題作はいかにも詠美姐さんな感じだし、彼女の描写する肉体労働の男子たちの、魅力に満ちたたたずまいにはそれぞれぐっとくるものがある。「春眠」なんてランチ食べながら泣いてもうた。しかしリアルな恋愛沙汰から遠ざかっている己のせいだろうが、文章の素敵さにはヤラれるも、だからと言って恋愛したいとかは思わなかったんだな。情けないことに。『純情ロマンチカ』をテレビで見た時の方がよっぽど胸にきゅうううんんときた、っつうわたくしはこのまま腐女子になってしまうのだろうか。嗚呼自分が心配だ。

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2008年5月 5日 (月)

『東京バンドワゴン スタンド・バイ・ミー』

小路幸也の『東京バンドワゴン スタンド・バイ・ミー』(集英社)を読む。東京下町で古本屋&カフェ「東京バンドワゴン」を営む大家族・堀田家の物語、悪かろうハズなしの第三弾。人物相関図も2ページになり、東京バンドワゴンを巡る仲間達も良い感じに増えて更に賑やかになっております。それでもってうるさすぎることがないのは、亡くなったおばあちゃんが語り手であるからだろうか。その優しい、深い愛に満ちた語り口調がまたひとつの魅力でありましょう。嗚呼こんなお店が近所にあったら良いなあ。
このシリーズの1冊目がやっと集英社文庫になったので、未読の方にも鋭意お薦め!!元フジテレビの女子アナで現・野球選手の嫁のつまんない帯がついているからといって敬遠するのは(あ、しませんか?)勿体無い。新刊コーナーにダッシュでごわすよ。

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2008年4月15日 (火)

『花まんま』

朱川湊人の『花まんま』(文春文庫)を読む。昭和30年から40年代の大阪の下町を舞台にした6篇は、ちょっと怖かったりほろりとしたりする以外にも、曰く言い難い気持ちを呼び覚ます。例えば子供の頃を思い出す時、懐かしいというよりどこか不安定な気持ちになることがある。記憶が曖昧な部分に何かが不自然に隠されているような感じ。もしかしたら自分にとって都合の悪い出来事をなかったことにするために、事実を無理矢理捻じ曲げて覚えているのではないか。そうやって強引に忘れた時間の中で、自分はとてつもなく悪いことをしたのではないか。やったかやらないかわからない悪事への中途半端な罪悪感というか、ひたすら隠蔽する自分への嫌悪というか、そんな感情に潰されそうになる。全部妄想かもしれないけれど...。って一体どんな子供だったんだ、俺。わたくしだけかもしれませんが、読んでいるとこんな感じの不安に陥る小説であった。ちなみに第133回直木賞受賞作。

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2008年4月 9日 (水)

『霧笛荘夜話』

浅田次郎の『霧笛荘夜話』(角川文庫)を読む。とある港町の古いアパート「霧笛荘」に住む、無一文で変わり者揃いの住人たちの物語。纏足の老婆が語る彼らの人生は、ある面から見れば確かに不幸かもしれないが、自分にとっての本当の幸せが何かをちゃんと知っている。お金で買えないものってあるんだよ!ほんとに。ちょっぴり悲しくて、そしてええ話よ。

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2008年3月31日 (月)

『四畳半神話大系』

森見登美彦の『四畳半神話大系』(角川文庫)を読む。モリミー節全開の、冴えない大学生のいけてない生活を面白おかしく綴った第一話を普通に堪能した後に、んんん?むむむ?的な驚きがやってきて、なんだなんだといぶかしみつつ読み進み終わった時に、おおおおこんなことに!とまた新たな驚きに満たされる。っつうちょっと変な小説。夜は短しに登場する羽貫さんや樋口師匠はここがルーツだったのね、と嬉しい再会もある。やっぱりモリミーって好きよ。表紙はハードカバー時の方が良かったな。多分あのかわゆらしい熊は「もちぐま」だったのな。ラブ!もちぐま。

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2008年3月 5日 (水)

『古道具 中野商店』

川上弘美さんの『古道具 中野商店』(新潮文庫)を読む。骨董ではなくあくまでも古道具を売る店・中野商店の胡散臭くも女性にもてる店主・中野さん、店主の姉でゲージュツカのマサヨさん、なんとなく不器用なアルバイトのヒトミさんとぶっきらぼうなタケオ。そこで働く人たちと癖のある常連たちの静かでおかしみのある物語。中野商店の品揃えとか、コタツや石油ストーブがある風景、商店街の喫茶店のベタなケーキ、中野さんの正ちゃん帽などに象徴される、適度に古臭くてしっくり馴染んでくる感じというか空気というかが、とっても気に入った。江國香織の書く世界には入れそうもないけど、川上弘美さんの小説の中は暮らしていくのにおもしろそうだ。何故江國香織を引き合いに出すのかは自分でもよくわからん。

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2008年2月16日 (土)

『ほかに誰がいる』

朝倉かすみの『ほかに誰がいる』(幻冬舎文庫)を読む。『そんなはずない』がかなり良かったので、むのすごい期待していたんだけど....。掴みの文章はぐっときた。「あのひとに出会うまで十六年もかかってしまったという気持ちは、後悔に少し似ている」とか。そんなところから始まるひとめぼれ小説。わからなくもないけれど、やっぱり総じてわからん!ていうのが正直な感想か。人をそんなになるまで、そこまで好きになったことがない自分が不幸のような幸せのような、フクザツな感じです。

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2008年2月14日 (木)

『かたみ歌』

朱川湊人の『かたみ歌』(新潮文庫)を読む。直木賞作家だが読むの初めて。帯にあった”アカシア商店街に流れる懐かしの「かたみ歌」”の、懐かしい昭和歌謡やフォークのラインナップにぐっときて買ってみたもの。特に「アカシアの雨がやむとき」って好きだったのよねえ...とすっかり懐メロモードですわ。物語の舞台は東京のとある下町、昭和40年代のアカシア商店街。ごく普通の町のように見えるが、そこはちょっと不思議なことが起こる場所でもあった。芥川龍之介に似た古本屋の親爺を狂言回しに、肝が冷える話やほろりとする話、せつない恋、生きている者と死んでいる者が交差しつつ繰り広げられる。そんなに昔じゃない気がするけれど、昭和ってもうすごく遠いのかな。なんとなく鼻の奥がつーんとするような読後である。

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2008年1月 7日 (月)

『てのひらの迷路』

石田衣良の『てのひらの迷路』(集英社文庫)を読む。24の物語で綴られた掌編集。かなりの数だがそこは流石の技術。軽く読める中にも、はっとさせられるような話や泣かずにはいられない話、発想が面白い話など時々光っている。若干尻すぼみ感もあるかな。作家であり続けるということはムツカシイに違いない。

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2008年1月 4日 (金)

『ピカルディの薔薇』

津原泰水の『ピカルディの薔薇』(集英社)を読む。金子國義の挿画が美しくゴージャス、津原泰水の書く世界にぴったり。『蘆屋家の崩壊』の猿渡くんモノ第二弾の本書は、前作よりも幻想的でややムツカシイ気が。好き嫌いが分かれそうではあるが、怪談のような御伽噺のような独特の雰囲気はなかなか抗い難い魅力がある。帯で三浦しをんが「好きだー!猿渡くん」と吠えているのが好感。好きなんだね。

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2008年1月 1日 (火)

『仏果を得ず』

謹賀新年。正月休みは買い込んでおいたハードカバー本をむさぼり読む予定。うはうは。新年一冊目は三浦しをんの『仏果を得ず』(双葉社)。文楽の若き大夫が諸々壁にぶつかったりしながら芸に精進する物語。傑作!!文楽を知らなくても面白い!アンド登場人物全員イイ!主人公の悩める義太夫青年・健大夫はとにかく義太夫バカ、芸道に一所懸命すぎて日常生活ではぼーっとした感もある、”好き”がもたらす隙が好感。芸には厳しいがお茶目で無茶苦茶な人間国宝・銀大夫や、義太夫好きの小学生・ミラちゃんもかわゆらしい。しかし極め付けはやはり三味線の兎一郎兄さんであります。クールで無口で変わり者、しかして芸にはアツイ男。またしても勝手に巳吉センセを思い浮かべる新春よ☆でもやっぱりここは一度、きちんと文楽というものを観ておきたいのうと思わせてくれた、実に力強い一冊だったよ。

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2007年11月28日 (水)

『氷の海のガレオン/オルタ』

木地雅映子の『氷の海のガレオン/オルタ』(ジャイブ ピュアフル文庫)を読む。自分の言葉を持つが故に学校に居場所がない11歳の少女の話。彼女のように強くも賢くもないけれど、そこには確かにわたくしがいた、と思わせる。ものごっつ感情移入してしまう為か、感想がうまく言えない。あと、最近の学校というのはわしらの頃よりも更に生き辛い場所になっている気がした。サバイバルだ。お母さんやお父さんは読むといいと思うよ。

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2007年11月20日 (火)

『一の糸』

有吉佐和子の『一の糸』(新潮文庫)を読む。文楽の三味線弾き・露沢清太郎が弾く一の糸の響きに恋をしたことから始まる、造り酒屋の一人娘・茜の数奇な一生。愛と芸が奏でる渾身の一代記であります。何か感極まった~。文楽は観たことがないし、歌舞伎を観ていても清元と常盤津の違いすら飲み込めないわたくしにとって、三味線を弾く人と言えば巳吉先生しか思い浮かばず、必然的に清太郎=巳吉先生で読んでもうた。んもう次回巳吉先生のお姿を舞台で見たらちょっとドキドキしちゃうかも。勝手に先生とかつけてるが、これだって友人が「三味線をやるなら絶対巳吉先生に習うと決めている」とこれまた勝手に先生呼ばわりしているのを更に勝手に便乗して呼んでいるだけなんです...。こんな私でもほんとにほんとに夢中で読んで、茜には感情移入はしないけど(お嬢だし)、一喜一憂しながら楽しめた!清太郎(後に徳兵衛)の魂を懸けた芸道一直線ぶりがすげえ。「芸ごとは底が知れまへんなあ」とある場面でお弟子さんが呟く、このひとことにつきる。その底の知れなさが怖いと思いつつ、怖いもの見たさでそんな芸に触れたい、触れた時にそれとわかるような人になりたい、とも思うのであった。

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2007年11月10日 (土)

『泣かない女はいない』

長嶋有の『泣かない女はいない』(河出文庫)を読む。普通の人の淡々とした毎日、だからこそ何だかいとおしい一瞬の心の動き。主人公・睦美のささやかな恋に感情移入してしまいました。ワタシは常に泣く女ですけどね。同時収録の「センスなし」は聖飢魔Ⅱ好きの女子の話なのだが、よりによって聖飢魔Ⅱをもってくるところが絶妙だった。それでこのタイトルなのか。

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2007年11月 4日 (日)

『空ばかり見ていた』

吉田篤弘の『空ばかり見ていた』(文藝春秋)を読む。買ったことをすっかり忘れており、引越し作業をしていてみつけた時は心底驚きつつも宝物発見!みたいで嬉しかった。”世にもめずらしい流しの床屋”がここそこに登場する、ちょっぴり不思議でどこか懐かしい12のストーリー。床屋のホクトさんの現れ方は脇役であったり主役であったりほんの少し横切るだけの時もあり、それぞれに違ったシチュエーションの話であるのにホクトさんが鍵となってなんとなく繋がっているような印象を受ける。こういった物語作りは吉田篤弘の真骨頂でしょう。ブルーを基調とした装丁もいつものことながら素晴らしく良い。ちいちゃな北斗七星がかわゆらしい。

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2007年10月26日 (金)

『ノーサラリーマ・ノークライ』

中場利一の『ノーサラリーマン・ノークライ』(幻冬舎文庫)を読む。タイトル買い。合併したメガバンクの、合併された側の銀行員・カネテツは出身大学カースト制度においてもランク3。特に出世の見込みもなく、こんな会社辞めてやる!と年中言いつつもなんだかんだ頑張ってしまうサラリーマンである。ムカつくことも多々あるし殴ってやりたい奴もいる、でも我慢して諸々痛くないフリをしてへらへら笑って今日も働く。何故ならサラリーマンだから!部下の手柄を自分のものにしてしまう上司や上に弱く下に強く出る中間管理職、日和見で世渡りのうまい同僚や情報通の女子社員などなど色んな人がいるけれど、どんな奴でもいいところは必ずあって本当に悪い奴って案外いない、という目線に結構救われる。あなたがサラリーマンならば、ちょっと泣けるところもあるでしょう。泣きたい時には泣けばいいんじゃ。ノーサラリーマン・ノークライなのじゃ。

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2007年10月 4日 (木)

『君たちに明日はない』

垣根涼介の『君たちに明日はない』(新潮文庫)を読む。リストラ請負会社に勤める村上真介33歳が、リストラ対象者たちとの面接を通して色んな目にあったり凹んだりしながらも仕事にやりがいを感じていくみたいな話。リストラ請負人だなんて主人公はきっとイヤな奴なんだろうと勝手に思っていたが、意外にも仕事に対するきっちりした姿勢に感動すら覚えた。彼のスタイリッシュな見た目も好感、またそーゆう男子にありがちな女子選びをしないところが更にイイ☆村上君ポイント高いね。リストラする方にもされる方にも、それぞれの人生があるなあと当たり前ながらしみじみ思う。思うけど重いばかりではない、どことなくユーモラスなリーマン小説に仕上がっております。しかも時たま泣けたりも。たかが仕事、されど仕事だ。やっぱり仕事をきちんとやると気持ちが良い。垣根涼介にはワイルドっつうか冒険活劇なイメージがあったけど、こんなタイプの小説も書くんだね。同姓同名の別人が書いたのかと思ってた。

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2007年9月15日 (土)

『サウスバウンド』

奥田英朗の『サウスバウンド』(上下巻・角川文庫)を読む。税金や年金は払わん、学校なんて行かなくても構わん、官はキライですぐ「論拠を示せ、展開してみろ」とつっかかる型破りな父親に、何かと振り回される家族を描いた力強い家族小説。小学生の男子の視点なんてちょっと苦手だなーと思いつつ読み始めたが(小学生男子だったことがないので感情移入できなさそうな気が)、予想に反しておもおもおもしろいっす!その全力疾走な行動は極端だけどよく考えてみると間違ってはいないお父さんが何かかっちょいい。下巻になるとそのパワーは更にアップ、常識のメーターを振り切ります。何事も動じない、割とフツーに見えたお母さんが実は...と言った設定も効いている。トヨエツ主演で映画化らしいので、読んでる間中お父さんがトヨエツ。お母さんは天海祐希。でかい両親だな!

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2007年8月28日 (火)

『そんなはずない』

豊崎由美の薦めで買ってしまった、朝倉かすみの『そんなはずない』(角川書店)を読む。なんじゃこりゃ、面白い!今までトヨザキ社長に関しては、まああれだけ読んでれば上から目線で物も言うよねとか思ってはいたが、言いなりになるのもシャクなのであまり深入りしてなかったわけだ。しかしトヨザキ社長によるこの本の強力お薦め文には相当惹かれるものがあり、読んでみたら速攻ヤラれた!姉妹が男を取り合う話なんてありがちで辟易でしょ?でもこの朝倉かすみって人が書くとそんな”よくある感”が全くなくなるのが不思議だ。ストーリーもだけど、文体や言葉選びも捻りが効いており、いちいち「おっ」と思わせてでもそれがイヤミじゃない妙なセンス。何かはまっちゃった。勿論スゴイのは朝倉かすみなのだが、かような本をいち早く発掘してくるトヨザキ社長を初めて尊敬致しました。今回に限ってトヨザキ社長の言うことを素直に聞いた俺様の勘も滅法スルドイがね。ふふん(結局自画自賛)。

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2007年8月26日 (日)

『逃亡くそたわけ』

絲山秋子の『逃亡くそたわけ』(講談社文庫)を読む。またしてもオーバードーズか...デジャヴュ?くらいのクワイエットルームぶりだが、こちらはタイトル通り逃げる話です。入院先から脱走した花ちゃんとなごやんの逃避行珍道中。こーゆう小説の感想はとてもムツカシイので適当にお茶を濁す。とりあえず阿蘇には強烈に行ってみたくなった。”いきなり団子”が食べてみたい。ま、そんなとこで。

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2007年8月23日 (木)

『アンジェリーナ』

小川洋子さんの『アンジェリーナ』(角川文庫)を読む。佐野元春の曲からインスパイアされた短編集。長年のモトハルファンとしてはぜし読んでみたかったものだが、久しく品切れっぽかった。再販されたらしく平積みしてあったので早速購入。ここのところモトハルに呼ばれたかのように昔の曲を聞いていたのも重なって、この不思議な味わいの短編たちに波長があってしまった気がする。どれひとつとして予想がつかない、この曲からそんな話なんだ!という驚きに満ちていた。モトハルの曲の世界が広くて深いのか、小川洋子さんの想像力が果てしないのか。きっと両方ですな。

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2007年8月 9日 (木)

『クワイエットルームにようこそ』

松尾スズキの『クワイエットルームにようこそ』(文春文庫)を読む。本書は第134回芥川賞候補作であり、著者自身が監督した映画の原作。いきなりのオーバードーズにドン引きするも、何だか笑っちゃう主人公・明日香の呟きが病みつきに。絶望的な状況に陥りながらどっか面白くなっちゃってるっつう滋味は、流石の松尾ちゃんであることよ。町田康に芥川賞を差し上げたノリで松尾ちゃんにもあげれば良かったのに。とりあえず映画は観たい。それにしてもこれ、内田有紀やったのかあ。勇気あるなあ。

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2007年8月 1日 (水)

『笑う招き猫』

無事に新居への引越しも終わったが、単に荷物を運び入れただけで、一体いつになったら片付くのだ...といった様相。もう飽きちゃったし、連れ合いもいい按配に出張だし、久々に読書。山本幸久の『笑う招き猫』(集英社文庫)を読む。ナツイチオリジナルストラップ(ハチの☆)がどうしても欲しかったのだが如何せん未読の集英社文庫ナツイチラインナップに芳しいものがなく、えーいもう何でもいいか!と無理矢理買ったものであったのに案外アタリ!!御免ね集英社。駆け出しの女子漫才コンビ(と言ってももう28歳)、小ちゃくて太ったアカコと180センチのでかいヒトミが繰り広げる、お笑い青春小説。こだわりや気骨があって勿論一所懸命なのに、さほどガツガツして見えない二人の間には基本のんきな空気が流れているので呼吸が楽。なんか変な奴らだな、と思いながら読んでいくうち、「いくよ、アカコ」「合点、ヒトミ」と舞台に出ていく二人がどんどんいとおしくなるでしょう。アカコに柳原可奈子、ヒトミにサネイエをキャスティングして読んでみたがどうだろうか。

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2007年7月15日 (日)

『ダンス・ダンス・ダンス』は何度も読む

週末はだらだらしながら村上春樹の『ダンス・ダンス・ダンス』(上下巻・講談社・文庫版もあり)を読む。もう何十回目か、ってくらいの再読ぶり。特に夏になるとピナコラーダのくだりが恋しくなり、しつこく読み返す。こんなハワイならアタマのネジをゆるめて入り浸ってみたい。とにかくこの小説には好きな箇所が沢山あって、読み進みながらそれらの箇所にぶつかるのがとっても嬉しい。主人公の《僕》が訪ねてきた友人のために簡単で美味そうなおつまみをささっと作る場面とか、13歳の美少女ユキの初登場シーンとか、文化的雪かきとかかっこうとか。ワタシは結局村上春樹に戻ることが多いかもしれない。

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2007年7月10日 (火)

『きみはポラリス』

三浦しをんの『きみはポラリス』(新潮社)を読む。初恋、禁忌、三角関係、最後の恋などのお題で描く恋愛小説集、だけどべったべたじゃないところがしをんぽいのかな。確固たる不動な存在の象徴的タイトルがイイね。恋愛シバリなのにそれぞれが見事に違う印象の話ばかりで正に多彩、中でもやはり同性愛テイストなものにしをん先生のこだわりと冴えを感じた。ワタシはBLに足を踏み入れたら相当はまりそうな気がするのであえて近付かないようにしているのだが、しをんが書くなら読みたいなー。

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2007年7月 6日 (金)

『幸福な食卓』

瀬尾まいこの『幸福な食卓』(講談社文庫)を読む。何となくほんわかしたい、という勝手な希望とともに手にとってみた。勝手に思い込んですみません、と謝る読後です。ちょっと風変わりな家族の数年間を描いた本書は、登場人物は皆なかなか味わいのある人たちだし、仲は良いのに微妙なバランスの上に成り立っているデリケートな家族の感じがうまく書けているなあとは思うし、文章もいやみがなくて読みやすい。でも私の好みだけで言わせて頂ければ、途中まではともかく、こんな展開はほんとに勘弁して欲しい。うっすら涙しつつ最後まで結構夢中で読んでいて言うのも何だが、でもやっぱり勘弁!なんだよなあ。

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2007年7月 5日 (木)

『コイン・トス』

幸田真音の『コイン・トス』(講談社文庫)を読む。久しぶりに金融モノが読みたいなーなんて軽い気持ちで手にとったのだが、軽いどころか9・11を扱ったヘヴィな長編であった。元米国系金融機関のディーラーだったという著者故の、9・11に対する思いが痛いほどに伝わってきた。強烈すぎる現実を前に作家としての限界を感じ打ちのめされながらも、逃げてはいけないとこの小説を書き上げたことに凄みを感じる。なんかうまく感想書けず、悪しからず。

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2007年7月 2日 (月)

『真夜中の五分前 side-B』

昨日のSide-Aに引き続き、本多孝好の『真夜中の五分前 side-B』(新潮文庫)を読む。そんな展開か...と少なからず驚きのside-Bの幕開け。諸々の喪失にもイージーな泣かせに走らないところが良いと思う。そこそこ波乱万丈なのに全体を通して落ち着いた空気が流れているのも好み。前もってストーリーを知らずに、この文体というか静かで頑固な世界を楽しむのがいいんじゃないかな。補足ですが、本書は2000年版「このミス」10位だったらしい。ミステリっちゃあミステリだけど、興味深いランクインであることだ。

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『真夜中の五分前 side-A』

本多孝好の『真夜中の五分前 side-A』(新潮文庫)を読む。五分前どころか真夜中を四時間も過ぎているわけだが、もう一気読み...。Side-Bもあるのでこれ一冊だけではまだ半分なのでしょうから感想はA、B揃ってからに。ただこれまでのところでは、相当読ませます。秘密と謎に満ちた恋愛小説?ちょっぴりミステリな味わいもありつつ、毎回言っちゃって申し訳ないけどハルキな匂いも感じられる本多孝好、やっぱりワタシは好きだなあと噛み締めてSide-Bへ続く。

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2007年6月16日 (土)

『シー・ラブズ・ユー 東京バンドワゴン』

先日に引き続き、小路幸也の『シー・ラブズ・ユー 東京バンドワゴン』(集英社)を読む。イイ!やっぱしイイわ。予定調和の善人ドラマという向きもあるかもしれないけど、世知辛い昨今、せめて小説の中だけでもこんなほっとできる世界があったっていいんじゃないかなー。そして堀田家の面々のいろんなラブに触れたなら、そのラブは読んでいるわしらをもちょっとずつ変えてくれそうだ。末永く、堀田家の物語を読みたいと強く願わずにいられない。

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2007年6月15日 (金)

『東京バンドワゴン』

先日読んだ『空を見上げる古い歌を口ずさむ』が結構良かったので、今更だが話題の『東京バンドワゴン』(小路幸也著/集英社)を読んでみた。イイ!!もっと早く読めば良かった~。でも今からでも遅くない!面白うて時々ほろり(ぽろりじゃないよ!)の、上質な人情家族小説に君もやられてみないか。舞台は明治から続く下町の古書店・東京バンドワゴン、同居する四世代大家族の賑やかで何かと起伏の激しい日々はまるで往年のホームドラマを彷彿とさせる味わいだ。昭和の頑固オヤジそのまんまの店主79歳、その息子は齢60にして何かと落ち着かない伝説のロッカー、長女は画家で未婚の母で...と、登場人物もひとりひとりふるっており、大人数なのに誰一人埋もれずにイキイキしているところがスバラシイ。ご近所さんとの付き合いもわずらわしい時もあるけど概ね親密で、ちょっと前の日本てこんなだったよねーみたいな懐かしさ。語り手にもひと捻りあって、とにかくハートウォーミング☆たまにはこんなええ話に身をゆだねるのも新鮮だよ!つうわけで最近出た続編も即買いだ。

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2007年6月 2日 (土)

『みんな元気。』

舞城王太郎の『みんな元気。』(新潮文庫)を読む。ぐったりする。すみません、もうついていけんわ。前後左右過去未来虚構リアルがよくわかんないままにぐちゃぐちゃとあっちこっち飛び、唐突な登場人物がフルネームで量産されてストーリーすらまともに追えず、人が見た夢の話を延々とノンストップで聞かされたような疲れが...。トヨザキに馬鹿にされてもいい、正直私にはもう舞城文学がわからない。著者が描いた挿画はうまいなーと思いました。褒めどころはそこだけかい。

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2007年5月28日 (月)

『7月24日通り』

吉田修一の『7月24日通り』(新潮文庫)を読む。自分の住む町をリスボンに見立てるのが密かな楽しみという地味なOLちゃんが、高校時代に好きだった先輩と再会して...っつう話。中谷美紀主演の映画『7月24日通りのクリスマス』の原作だと思うけど、随分話は違うなーという印象。正直、大沢たかおが演じた聡史の方が作中聡史よりも好人物に思えた(たかおだから?という理由ばかりではなく)が、原作は映画ほど安直ではなく結構練られていて良かった。人の気持ちはそう簡単にはいかねーよ、ってことだ。主人公の最後の行動にちょっと揺さぶられたほどに、案外感情移入してもうた地味なOLちゃんです。

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2007年4月22日 (日)

『ドジリーヌ姫の優雅な冒険』再々々々...読

久しぶりに小林信彦の『ドジリーヌ姫の優雅な冒険』(文春文庫)を読み返す。日活アクション映画の主人公を地で行く《さすらい人》・二階堂秋彦とその美貌の妻・敏子のスリリングでちょっと可笑しな日々を描いたユーモア小説(っていうのかな)。雑誌「クロワッサン」に連載していたということで、12篇全て料理絡みの話なのも食いしん坊には万歳ものである。わたくしが中高生の頃にめっさ愛読していた本書は、文庫の初版が1980年。もう30年近くも前の小説なのか...。今となっては絶版あるいは重版未定本となっているのがひじょおおおに残念。映画化するなら、夕陽を背負いギターを片手に悪者を倒しに行くっつう時代がかった主人公はぜし阿部寛で。何かと規格外だから。ドジ(っていうのも死語か)で可愛い妻にはハセキョーを!とにかくハセキョーを。これじゃあ『大帝の剣』だけどさ。

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2007年4月19日 (木)

『鹿男あをによし』

『鴨川ホルモー』でデビューした万城目学の第二作目『鹿男あをによし』(幻冬舎)を読む。何故か奈良の女子高で臨時教師をすることになった主人公が、ある筋から大変な任務を仰せつかって否応もなく奮闘するっつう話なのだが、いやあ実にイイね!いとおもしろし。鹿あり不思議あり青春ありの、ちょっと『坊ちゃん』的な匂いもする学園モノにすっかり夢中。何しろ万城目学だから一筋縄ではいかず、普通じゃない状況に終始はらはらしつつもどこか呑気な空気が流れているのがイイ。どーすんだよこんなの?という事柄も、細かいとこまで結構ちゃんとピースがはまっていく緻密さもあって読後も気持ちが良い。今後も相当期待したいぜ、万城目学。

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2007年4月17日 (火)

『イニシエーション・ラブ』

乾くるみの『イニシエーション・ラブ』(文春文庫)を読む。発刊当時、何かと話題になった本なので楽しみにしてたら、合コンで知り合ったバカップルのまどろっこしい恋愛沙汰を延々と読まされて辟易したぜ。しかも時代設定がバブル期?で、昭和末期のヒット曲を用いた各章のタイトル含め妙に気恥ずかしいのですわ。ケッ。などと思いつつ読み進むうち...。ま、先入観なしで読まれるのが良かろう。何故偉そう?そして評判通り、二度読みしてもうたことも正直に書いておこう。

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2007年4月11日 (水)

『山ん中の獅見朋成雄』

舞城王太郎の『山ん中の獅見朋成雄』(講談社文庫)を読む。背中にたてがみを持つ中学生・獅見朋成雄が、なんだかんだと日常を逸脱していく物語。相変わらずスピードと意外性はあるものの、わたくしには到底理解不能。先日読んだ『九十九十九』のこともあるし、もう舞城はいっか、って雰囲気が濃厚だけど、奈津川サーガだけはどうにも諦められないのであった。

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2007年4月 8日 (日)

『語り女たち』

北村薫さんの『語り女たち』(新潮文庫)を読む。お金と時間と空想癖のある男が、海辺の家に訪れる女の話をひたすら聞くという物語。美しくも不思議な話、後からじわじわ怖くなる話、何とも言えない奇妙な話...いつまでも”聞いて”いたい珠玉の17篇であります。

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2007年4月 1日 (日)

『ワーキング・ガール・ウォーズ』

柴田よしきの『ワーキング・ガール・ウォーズ』(新潮文庫)を読む。37歳未婚の墨田翔子は一部上場音楽企業の企画部係長、ちょっと前の財前直見がドラマでやりそうな役どころ。仕事のできる管理職だが周囲からは煙たがられる四面楚歌のお局状態(と本人が冷静に位置付けているのが可笑しい)。でもここぞって時の啖呵の切り様はなかなか迫力があるし、コワいだけでなくどこか可愛げのある女子ではある。オフィスにうっすら漂う悪意や小さな陰謀の正体を探るミステリの要素もありつつ、働く女子の奮闘ぶりが面白く読める一冊。ただ、一人称の”あたし”がちょっと気になるな。その辺りで”ガール”を保っているのか。

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2007年3月 5日 (月)

『ロリヰタ。』

嶽本野ばらちゃんの『ロリヰタ。』(新潮文庫)を読む。『鱗姫』あたりからついていかれなくなっていた野ばらちゃんを久しぶりに読んでみたいと思ったのは、ロリータ・ファッションを愛する作家と美少女モデルの恋!みたいな話だったから。乙女のカリスマである作家の「僕」とは、限りなく御本人に近いのではと勘繰ってしまうリアルさがあったね。そんな自らの置かれた(と思える)状況を、ちょっと笑い飛ばしているのが良いかな。そしてそれがあんまり笑えないのもご愛嬌...。初期の頃に比べて若干軽くなっていたけど、己の美意識を頑固に貫いている姿勢はやっぱり好きよ。

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2007年3月 3日 (土)

『天の陽炎』

栗本薫の『天の陽炎 大正浪漫伝説』(角川文庫)をうっかり読む。そういえば『狂桜記』という、やはり”大正浪漫伝説”な副題がついていた本で一度懲りていたではないか...っつうことを読後思い出す。こーゆうのが書きたいんだろうっていう気持ちはすごーくよくわかるけど、お金の掛かったお洋服とか没落華族のうすっぺらい悩みとか物憂い雰囲気とかの描写は確かにうまくてほんとに好きなんだろうなってことはすごーくよくわかるけど、何だかな!的な。フジテレビの昼ドラでやったらどうか!的な。前のことをすっかり忘れて食いついてしまった私も大正浪漫は嫌いじゃないのよ。しかしどうにもうんざり感が残るお話であった。悪いけど。

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2007年2月12日 (月)

『フィッシュストーリー』

伊坂幸太郎の新刊『フィッシュストーリー』(新潮社)をうはうはしながら読む。笑いたいような泣きたいような、不思議な味わいの短編・中篇4つ。他の伊坂作品に出ていた人にまた会えるという楽しみもある。『ポテチ』が良かったな。でも、みんなちがってみんないい。みすずか。伊坂幸太郎の小説は、説明なしでただ薦めたい。いいから本当に。

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2007年1月23日 (火)

『きつねのはなし』

森見登美彦の『きつねのはなし』(新潮社)を読む。すこぶるイイ!コワイのだけれど、どうしようもなく惹かれる妖しさに魅入られて一気読み。京都の路地を、竹林を、祭の雑踏を、なにやら得体の知れないモノの姿がちらちらする4つの物語。話のパーツがそれぞれ少しずつ重なっているようで、その都度微妙に違っているのが意味もなく怖い。先日楽しく読んだ『夜は短し恋せよ乙女』とは全然異なる印象の本書もまた、森見登美彦の別の”真の顔”と言った感じで本当に面白かった。来るね!森見登美彦。ていうかもう来てる?今更?

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2007年1月15日 (月)

『ひとがた流し』

北村薫さんの『ひとがた流し』(朝日新聞社)を読む。第136回直木賞候補に選ばれた作品で、もし今回受賞されるならば長年の北村薫愛読者としてはその前に居ずまいを正して読んでおきたいと思ったもの。結果としては、直木賞なんて取らなくてもこの小説を読めて良かったとしみじみ感じた。ざっくり言うと三人の女友達とその家族たちの物語。友達や家族という近くて気安い間柄でも、きちんと真摯に向き合って話すべき”時”と、その際に全力で使う”言葉”がわかっている人って素晴らしい。改めて「ただこの世にいてくれるだけでいい」と思う存在に感謝した。諸々うまく言えないけれど、大切な一冊になったなあ。

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2007年1月11日 (木)

『野ばら』

林真理子の『野ばら』(文春文庫)を読む。普段あまり読まない作家さんだが、この小説に限っては文庫化を待ちわびていたよ。なんとなれば、タカラジェンヌと梨園の御曹司の恋愛沙汰が描かれているから。勿論それだけの話ではないけれど、もうはしたないまでに下司な覗き見根性丸出しで、その点のみに集中してうはうはしながら読んでしまいました。主人公の千花(タカラジェンヌ)と萌(フリーのライター)の二人の女子はいずれも若くて綺麗で育ちが良くて、服装から食べ物、遊び場所に至るまで感情移入できるところは皆無!なのだが、世の中にはこんな人種もいるのね...とわくわく動物ランド的に見ることができれば楽しめる。楽しめるけど、やつらに不幸が降りかかると思いっきり溜飲が下がる、っつう心のヨゴレた自分もおりました。あと、あくまでも虚構であろうが御曹司ってやっぱりこんな恋愛をしているのかしらと思うと若干の衝撃はありましたな。ってわしも結構な乙女だな...

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2007年1月 6日 (土)

『海の仙人』

絲山秋子の『海の仙人』(新潮文庫)を読む。敦賀の海辺に一人で住む河野の元に、ある日突然神様?のファンタジーがやってきて居候となり、二人のゆるーい感じな共同生活が始まる。ファンタジーときたら神様のくせに特に何もせず、ご利益とか啓示とかもなさそうでただお酒を飲んだりしているだけのようだが、やっぱりどこか超越した存在ぽいのがチャーミングかな。河野に心を寄せる二人の女子も、系統は違うが両名ともなかなか好いたらしい。特に片桐という女子の片想いっぷりはイイ...とちょっと泣く。短い話であっさりさっぱりした書き方なのに、深い所に居た感じがする不思議な読後であった。

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2007年1月 1日 (月)

『夜は短し歩けよ乙女』

謹賀新年。ついに不惑を迎えたハズなのだが、今年も概ね惑いまくりんぐでいつもドキドキしていたい所存です。
つうわけで新年一冊目は、森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』(角川書店)。イイ!イイよモリミー☆黒髪の乙女と、彼女に恋する先輩(←ストーカー寸前)が、京都の町でストレンジbut魅力的な面々と出会い、諸々の事件に巻き込まれていくといういささかシュールな展開がハマればやみつき。実はシュールが苦手なわたくしでさえ、京都ならアリだな、とすんなり思えてしまう不思議さよ。先斗町にて謎の老人との偽電気ブランの飲み比べ、糺ノ森の古本市に降臨する古本の神さま、偏屈王ダルマ錦鯉象の尻などなど入り乱れての学園祭(多分京大!)、そして風邪すら避けて通る黒髪の乙女が冬の京都に凛々しく立つ大団円。嗚呼スバラしきモリミーの純情恋愛小説に、新年早々乾杯じゃ。

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2006年12月21日 (木)

『メリーゴーランド』

荻原浩の『メリーゴーランド』(新潮文庫)を読む。民間の会社を辞め、故郷の駒谷市へ戻って市役所勤めをする遠野啓一(36)。市の負の遺産・巨大赤字テーマパーク”アテネ村”を再建する部署に異動になった啓一は、立ちはだかるお偉方上司部下OB業者入り乱れての魑魅魍魎を前に、いかにプロジェクトを成功へ導くのか?お役所最大のタブー”前例にない”ことにチャレンジして、彼は公務員世界に風穴をあけることができるのか?そして”アテネ村”の運命は?みたいな話。起伏があってぐんぐん読めるのだが、如何せん奴らの働きぶり(というか働かなさぶり?)に本気で腹が立って、このまま読書続行したら血管が切れてしまうかと危惧されるほどであった。フィクションだとは重々承知ではあるがそれにしても...な感じ。まあ公務員でもリーマンでも、頑張っている人は頑張っているんだなあと極々あたりまえの感想を書いておきます。

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2006年12月17日 (日)

『シリウスの道(上)(下)』

藤原伊織の『シリウスの道』(上下巻・文春文庫)を一気読み。うーん、流石イオリン!おもおもおもしろいっす。久しぶりに夢中になって読めた本。斎藤美奈子さんあたりに、”団塊オヤジの都合のいい夢”みたいな言われ方をするイオリンだけど、ワタシは結構好き。オヤジに感覚が近いのかしら...という一抹の不安はさておき。本書の舞台は広告代理店、電通にお勤めだった著者の真骨頂というか面目躍如というか、とにかく勝手知ったる場所なわけだからリアリティがあるように思える(実際のところはわからず)。大きなお金が動く広告コンペや社内外の諸々の駆け引き、予期せぬトラブルに対する収拾の仕方など、難題になればなるほどひとごとなのでわくわくするね。リーマンの割にハードボイルドな主人公を始めとして、アクの強い登場人物が皆いい味を出している。イオリン小説ファンならばちょっと嬉しい再会もアリ。でもやっぱりこれも”オヤジのハーレクインロマンス”って言われちゃうのかなあ、斎藤美奈子さんには。

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2006年11月20日 (月)

『ダリア』

風邪っぴきで一日中寝ていた。もうろうとしつつ、野中柊『ダリア』(集英社文庫)を読む。17歳の女の子の話だけど、全く感情移入できないし、なんだかよくわかりませんでした。パパの作るご飯だけは旨そうでした。あと、紙が無駄に良すぎるかなあ。心の狭い感想を許して。

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2006年11月19日 (日)

『ヨリックの饗宴』

五條瑛の『ヨリックの饗宴』(文春文庫)を読む。五條瑛の小説はとっかかりが政治絡みだったりすると一瞬気が進まないのだが、そこを乗り越えるとどうにも止まらなくなるという恐ろしい薬のようでげす。失踪した兄・栄一(いい男)を探すうち、図らずも隠蔽された国家機密の存在に気付き、否応もなく政権争い的なものに巻き込まれていく弟・耀二(負けずといい男)。兄は何故失踪し、何をしようとしていたのか?そして見え隠れするヨリックの正体とは?みたいな話。ノノノノンフィクション!?すれすれの話は五條瑛の真骨頂、やっぱり面白いっす。

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2006年11月12日 (日)

『ナラタージュ』

昨日あまりにもハゲしく『聖なる黒夜』の毒気にあてられてしまったので、ちょっと爽やか~な空気を吸いたいぜ、とばかりになんとなく安全牌?と勝手に決めつけた島本理生の『ナラタージュ』(角川書店)を読んだらアナタ。黒夜とは全く違った角度から息の根止められたわよ!やるじゃない島本って子!若干おねえ言葉で賞賛してみた。先生ものジャンルって好きよん☆くらいの乗りで読み進むうち、どうにも止まらなくなって最後まで一気読み。案外ダメな男・葉山先生にどうしようもなく惹かれている泉にシンクロする度、胸がひりひりと痛んだ。なんで今更こんなに痛いとですか。読後、ひとりでトイレの中で号泣...こんなに泣けたことに狼狽しつつドロンします。

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2006年10月 1日 (日)

『家守綺譚』

梨木香歩の『家守綺譚』(新潮文庫)を読んだ。嗚呼、いいな。とっても好きだ。正直梨木香歩の本に入れ込んだことはなかったけれど、これは好き。設定もいいし文章も美しい。四季の風景が淡々と、しかし鮮やかに綴られ、じんわりと心に残る。不思議なことがひょいと起こっても不思議じゃない感じに思わずくすりと笑ってしまう。何度も読み返したい。あまり予備知識なしで読まれることをお薦めしたい。静かに傑作。

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2006年9月25日 (月)

『太陽がイッパイいっぱい』

北上次郎が解説を書いているとついふらふらと惹かれてしまう『本の雑誌』育ちであります。つうわけで北上次郎につられて、三羽省吾の『太陽がイッパイいっぱい』(文春文庫)を読む。ひとことで言うとナニワの肉体労働青春小説、だがひとことでは片付けられない色んなものが詰まってる。大学生活にリアルを見出せないイズミ、巨漢の暴れん坊カン、美青年なのに赤面症のクドウ、リストラされた元リーマンのハカセなど”マルショウ解体”で働く面々それぞれのキャラがいい。かなりお下品な言葉が全開で放たれる為、育ちの良いワタクシは最初こそ度肝を抜かれたが、慣れるとテンポの良い関西弁のやり取りが気持ちよく感じる。それぞれが抱えるものはしんどかったり辛かったり、時折鼻の奥がつーんとすることもあったけど、暗さがないのが良かったな。

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2006年8月30日 (水)

『下北サンデーズ』

石田衣良の『下北サンデーズ』(幻冬舎)を読む。演劇の町・下北沢を舞台にした小劇場青春グラフィティ、なんてど真中のハズ!なのだが、何故か熱くなれず。最初の”前説”部分を読んだだけでその台詞の違和感っつうか恥かしい感じに正直辛くなり、そこからなかなか進めなかった。それなりに面白くは読めるけれど、なんとなくソツなくまとめたドラマのノベライズ本のようだ(原作なのに!)。顔に☆をつけてたような男・河原雅彦の方が下北の地に足がついてるってことか。まちゃぴこに一票だ。演劇を題材に書くということは、本編のストーリーの他に劇中劇の分まで考えなくてはならんから相当大変であろうなーとは素人でも思う。というわけで改めて『ガラスの仮面』や恩田陸の『チョコレートコスモス』の素晴らしい出来に思いを馳せてしまったよ。衣良のことは引き続き愛しているので今後に期待でごんす。

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2006年8月24日 (木)

『アラビアの夜の種族 Ⅱ』

古川日出男の『アラビアの夜の種族 Ⅱ』(角川文庫)を読む。夜の種族による、『災厄の書』の語りは続く...が、ちょっと長いよ!と思い始めた二巻目哉。壮大な物語だから仕方あるまい。あと、本気と書いてマジと読む、みたいなルビのふりが多いのが気になるっちゃあ気になる。発展→にぎわい、情念→おもい、犠牲者→いけにえ、説明→いいわけ。なんとなく素通り出来ない、っつうのが狙いなのかのう。さあラストで盛り上げてくれたまい。

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2006年8月20日 (日)

『それからはスープのことばかり考えて暮らした』

大好きな吉田篤弘の最新刊『それからはスープのことばかり考えて暮らした』(暮しの手帖社)を読む。いかにも暮しの手帖っぽい素朴な線がかっちょいいイラスト、懐かしい雰囲気を漂わせるイカしたフォント、ざらっとした質感が手にしっくりくる、大切にしたいと思う本。昔の映画をこよなく愛する青年・オーリィ君(オーランドじゃないよ...大里君です)は、二両編成の路面電車が走るのんびりとした町で一人暮らし。好きな映画を見ながらも失業中なので仕事も(なんとなく)探しつつ、町の人たちとぽつぽつ知り合い、やがて新しい仕事に就く。町や店や映画館のほどよく古く清潔な感じ、そこに居て生活する人たちのゆったりと大きく普通な感じ、全てが良いさじ加減だ。淡々とした中にもちゃんとドラマチックな物語があって、ちょっぴり不思議なことも起こるけど地に足のついた日々が本当にいとおしい。
Soup

オーリィ君がある人に習った、美味しい”名なしのスープ”のレシピを参考に、わたくしもスープを作ってみた。「とにかく、おいしい!」と念じるのが肝。写真では全く美味そうに見えないが...

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2006年8月17日 (木)

『アルゼンチンババア』

よしもとばななの『アルゼンチンババア』(幻冬舎文庫)を読む。タイトルが秀逸。奈良美智さんの絵がまたじわじわくる。『ひな菊の人生』もそうだったが、身内を亡くした時何かに導かれるようにばななちゃんを読むことが多い。今回もたまたま時期が重なり、悲しいけれど救われた感じ。何度も思うことだが、よしもとばななの小説には人をゆっくりと再生させるみたいな力がある。ところで本書は鈴木京香で映画化...京香ちゃんのアルゼンチンババアとは、さぞかし迫力だろうにゃー。

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2006年8月15日 (火)

『アラビアの夜の種族 Ⅰ』

古川日出男の『アラビアの夜の種族 Ⅰ』(角川文庫)を読んだ。Ⅱを!とにかくⅡを!!と思い、書店に走るも品切れ....くううう切らすな本屋!ていうか三冊にも分けるな角川!そしていっぺんに三冊全部買っておけ自分!と各方面に”!”付きで駄目出し。そんな風に若干人を狂わせるところがある不思議な物語であると言えましょう。ナポレオン艦隊が迫り来るエジプト、敵を撃つ為の秘策は読むものを破滅へと導く書物『災厄の書』...禁断の書物を巡るアラビアンナイト的なストーリーに絡め取られる、このアヤしい心地良さ。とにかくわしにⅡを読ませろ!つうことで続く。

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2006年7月31日 (月)

『ニシノユキヒコの恋と冒険』

川上弘美の『ニシノユキヒコの恋と冒険』(新潮文庫)を読む。稀代のろくでなし・西野幸彦を10人の女子が語る短編集。”女自身も知らない女の望みを、いつの間にか女の奥からすくいあげ、かなえてやる男”、それがニシノユキヒコ。うーんやなやつだ、がしかし...わかっちゃいてもままならぬ女子の気持ちと、どこまでも掴み所がなく清潔なニシノユキヒコの、真剣だろうに愛せない悲しみがなんだかぐっとくるのであった。くらたまが書いたらだめんずウォーカーになるテーマが、川上弘美だと文学になるのだなあと感心。

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2006年7月23日 (日)

『FINE DAYS』

この人の小説って村上春樹っぽい、と読む度に思ってしまって、かような感想は作者に対しては失礼なのかもしれないけれど、でも文庫になると絶対直ぐに買うからやっぱりこの人の小説が好きなんじゃん私、と今では確信している。好きならハードカバーで買えよって話もあるがまあそこは目を瞑って、とかなんとか前置きが長いあるね。そんな本多孝好の『FINE DAYS』(祥伝社文庫)を読む。著者初の恋愛小説集...らしいが、そこは本多孝好なので全然一筋縄ではいかないっす。ちょっとホラーっぽいもの、SF的な味付けのもの、御伽噺めいたものもあり、先の展開にどきどきする。ついつい先のことを考えてしまうのはすれたミステリ読みの悲しい性だが、ただストーリーに身をゆだねて本多孝好世界を楽しめばそれで良いな、と珍しく思う。

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2006年7月10日 (月)

『海のふた』

よしもとばななの『海のふた』(中公文庫)を読む。今は観光客もまばらなふるさと・西伊豆の小さな町で、かき氷の店をやることにしたまりと、その土地へひと夏を過ごしにやってきたはじめの静かな物語。いろんなことに疲弊を感じたらばななちゃんを読むといいと思う。シンプルな言葉で語られる大切な事が、まっすぐに伝わってくる。ちょっと洗われた気がします。

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2006年7月 9日 (日)

『かび』

山本甲士の『かび』(小学館文庫)を読む。姑のイヤミや幼稚園の送り迎えでのトラブル、家族との確執など諸々の怒りを我慢し鬱屈した毎日を過ごす主婦が、あることがきっかけで各方面に報復するっつう話。長い間虐げられた者が突然キレて反撃し始めるというのはそれなりに溜飲が下がるけれど、そう思うのも一瞬のことでやっぱり復讐ものはまとめがムツカシイ...。どっちに転んでもなんとなーくいやな感じが残る故、まあ読まなくてもいいかなー的な。とっても練られていて一気に読ませる小説ではある。

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2006年6月27日 (火)

『お縫い子テルミー』

密かに注目の作家・栗田有起の『お縫い子テルミー』(集英社文庫)を読む。文庫化で、セキユリヲの装丁もすこぶる可愛い。流しのお縫い子として生きるテルミーの、恋と自由な魂。だいたい”流しのお縫い子”って何...。その設定からして人をくっているが、まあそれもアリかなっていう気分になってくるから不思議だ。ぐいぐい引き込まれて読むうちに、スペシャルな布の手触りや美しく続く縫い目がすぐそこにあるかのように感じられ、耐え難いまでに狂おしい恋の痛みなんかもせっぱつまって伝わってくる。お縫い子テルミー、気に入ったぜ。

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2006年6月23日 (金)

『青鳥』

ヒキタクニオの『青鳥(チンニャオ)』(光文社文庫)を読む。台湾から日本へやってきたガッツ溢れる娘・小葳(シャオウェイ)が、外資系企業で多様な人種・多様な文化にもまれながらも日々頑張って仕事をする、みたいな話。ヒキタクニオの書く、働く女子話は結構好き。広告代理店だからか外資系だからか、なかなかアクの強い、しかして魅力的な人物が多いところがわたくしには新鮮。特にコスプレ?が趣味の統括部長は、部長史上最高にインパクト有りの人!こんな上司についていきたい...ような気もする。小葳はいささか気が強すぎて可愛くない時もあるが、食欲旺盛なところがとても好いたらしい。彼女がお昼に食べている丼ものは果てしなく食欲をそそるぞ。

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2006年6月19日 (月)

『太陽の塔』

気になる京大出作家その弐・森見登美彦の『太陽の塔』(新潮文庫)を読む。日本ファンタジーノベル大賞受賞作だと言うが、むさくるしい京大生男子たちの冴えなくも誇り高い?生活を描く本書の、何を以ってファンタジーなのか。妄想の力か。主人公の偏差値の高そうな言い回しに好き嫌いが分かれるかもしれないが、わたくしにはハマった(おいらの偏差値が高いっつうわけでは決してない)。小ムツカシイ事を並べ理屈をこね常に自信満々でありつつも、実は情けない自分を情けないとうっすら自覚し、それでも理詰めで己を鼓舞する男子たちが、読んでいるうちにいとおしくなってくる。そこがファンタジー?...なのかしら。

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2006年5月27日 (土)

『エル・ドラド(下)』

服部真澄の『エル・ドラド(下)』(新潮文庫)を読む。後半ちょっともたついた感じでなかなか進まなかったけれど、フィクションとは思えぬ展開に背筋が寒くなる。遺伝子を操作することによって生まれる利便性と、その行為に伴う何か取り返しのつかない領域に踏み込む的な畏れとの葛藤がひしひしと伝わってくる。うーむGMOあなどれなし。引き続き注目したい分野であります。なんつって、何も関心なかったサルをもかように思わせる小説であったよ。

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2006年5月23日 (火)

『エル・ドラド(上)』

服部真澄の『エル・ドラド(上)』(新潮文庫)を読む。服部真澄はハードカバーで買っていた程に、一時期凝っていた作家であります。結構手に汗握るエンタテインメントなんす。最近追いついてなくて久々に文庫新刊を読んでみたが全く衰えナシ。世界の”現在”をスルどく描く服部小説の今回のテーマはGMO(遺伝子組み換え作物)、今まであんまし関心なかった分野だけど案外商売になるんだなあ。リスクと欲とマネーの匂いがいろいろします。アグリビジネスの陰謀を暴く本を執筆予定だった天才ジャーナリストが失踪し、翻訳家の蓮尾がその謎を追って飛んだ先は..黄金郷なのか!?.っつうわけで下巻へ続く。

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2006年5月13日 (土)

『心洞』

お待ちかね、革命シリーズの第三弾、五條瑛の『心洞』(双葉文庫)を一気読み!この小説を読む限りでは、暴力と裏切りの街・新宿はもうえらいことになっておるよ。今回は、それぞれ心に空洞を抱えながらもちょこちょことアブナイ橋を渡りつつそれなりになんとか暮らす家出少女・エナ&同居人のチンピラ・ヤスフミが、あれよあれよという間に何やらヤバさ120%の抗争に巻き込まれて...みたいな、にっちもさっちもいかない話に仕上がっています。嗚呼バイオレンス。小憎いタイミングでよぎる黒い影、麗しのサーシャ様はいったいこの街を、この国を、どうなさるおつもりか。その答えはあと7冊引っ張るだろうが、ほんとに答えを出してくれるのか心配。すみれのいきなりな大物感もやや心配。

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2006年5月11日 (木)

『イッツ・オンリー・トーク』

もはや芥川賞作家・絲山秋子のデビュー作『イッツ・オンリー・トーク』(文春文庫)を読む。人の病み方って色んなかたちがあるのだなと今更ながら感心する。病んでいない人なんてほとんどいないのかもしれない。自分も含め。感情移入という点ではほとんどできないけれども、そこはかとなく笑えるのが良い。帯に、心の義姉・寺島しのぶとトヨエツの写真が付いており、このアクの強そうなキャストで映画化らしいので見たいなーと思ったが、読んだ後はそんな気持ちもやや引き気味か。でも怖いもの見たさというのもあるな。

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2006年5月 5日 (金)

『町長選挙』

精神科医・伊良部先生シリーズの最新刊、奥田英朗の『町長選挙』(文藝春秋)を読む。相変わらず笑って笑ってちょっと泣ける。今回の患者さんたちは、IT社長や若造り女優などあからさまにモデルがいるなっつう有名人が多くてその辺も面白い。まあ相手がどんなにセレブであろうと伊良部先生のおバカぶり、無茶苦茶ぶりは全く変わらないんだけどね。エロかっちょいい看護婦のマユミさんに、FFのフランをキャスティングして読んじゃった。FFのやりすぎだって。

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2006年5月 1日 (月)

『鴨川ホルモー』

東大出にはさほど感銘を受けないが、京大出には無条件で食いついてしまう。京大出というだけで辰巳琢郎にすら(失敬)つい一目置いてしまうありさまだ。京大だーいすき。というわけで、圧倒的なインパクトのタイトル&著者が京大出っつう二点のみで買ってみた万城目学の『鴨川ホルモー』(産業編集センター)を読む。結果、この二点買いは大成功。主人公の京大一回生・安倍は葵祭の帰りに勧誘されて”京大青竜会”という怪しげなサークルについ入ってしまい、”ホルモー”に出会うことになる。ホルモーとは何ぞや??その実態が徐々に明かされていくのが、意外にエキサイティング!そしてかなりバカバカしい!しかし神や鬼が普通にいるに違いない京都という土地ならではの、かような存在に対する真摯な態度が好ましい。ホルモーを通して安倍たちサークルの面々がどう変わっていくのか、っつう案外バリバリの青春小説にもなっている。京都・異界・京大生と、私の好きなものが見事に揃ったスバラしき一冊!三池監督あたりで実写されたらすっごく面白いかも。

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2006年4月28日 (金)

『さよなら、スナフキン』

山崎マキコの『さよなら、スナフキン』(新潮文庫)を読む。前作『マリモ』(新潮文庫)にはストレートにヤラれたので今回も即買い。本人は一所懸命なのにその方向が決定的に間違っている、なんだかうっすらとダメな女・大瀬崎亜紀。さして美人でもなく賢くもなく、自分に価値は全くないと思い込み、ただ人さまに必要とされる人間になりたいとそれだけを望む日々。基本的にマイナス思考、しかし単純なので褒められたりするとすっごくシアワセ。人によってはこの女の一挙手一投足から考え方に至るまで全てにイラッとするであろう。しかし私は大瀬崎を他人とは思えない。嗚呼、自分の中の大瀬崎が読みながらちょっぴり泣いていました。ダメな奴だけど、ただの後ろ向きではない、こんな進み方もあっていいかな的に大瀬崎を見てやってほすい。それに山崎マキコなので結構笑えます。タイトルもイイね。

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2006年4月24日 (月)

『ひな菊の人生』

吉本ばななの『ひな菊の人生』(幻冬舎文庫)を読む。薄い本だが書かれていることは時として重く深く、大切でいとおしい。細いけど骨密度が高い感じ(違うかな)。”時差はあっても結局みんな死ぬ”といった文章に少し泣きつつ納得する。奈良美智の絵が大層良い。これらの絵とともに語られて初めてひな菊の人生なのだと言えましょう。

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2006年4月19日 (水)

『母恋旅烏』

荻原浩の『母恋旅烏』(双葉文庫)を読む。レンタル家族派遣業という怪しげな商売をする花菱家は、元大衆演劇の役者一家。ダメダメな親父に振り回されて、家族の置かれる状況がめまぐるしく変わっていく様が面白い。ケンカして図らずも傷付け合って、壊れそうになりながらもなんとか踏みとどまる家族の姿に時々ほろりとさせられる。大衆演劇は観たことがないけれどやっぱり芝居は芝居、読んでいてわくわくする部分も沢山あった。わしは結局芝居が好きなのな。

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2006年4月 6日 (木)

『マドンナ』

奥田英朗の『マドンナ』(講談社文庫)を読む。人事異動で部下になった女子社員に恋する課長の悲喜こもごもを描いた表題作など、頑張る40代課長さんたちがどこかいとおしく思えるリーマン小説。業種の差こそあれ、会社ってどこもなんだか似たようなとこあるなーとにやにやしながら読みました。おじさんたちだけでなく、女性陣のキャラクタ設定もうまい。ある課長さんの妻が山崎まさよしの大ファンであるという設定なんて、素晴らしく絶妙だー。福山雅治とかでなくジャニーズ系でもなく、山崎まさよしというセレクト。恐るべし奥田英朗。

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2006年4月 5日 (水)

『終末のフール』

伊坂幸太郎の最新刊『終末のフール』(集英社)を読む。間もなく世界の終わりを迎える人々の、静かで熱い8つのストーリー。非常時にギリギリの”普通”を保つことの難しさ、絶望の中でもかすかにしかし確実に差す光、生きていこうとする人たちの曰く言いがたいつながり。果てしなく重くなってもおかしくない題材なのに、どこかすっとぼけた、笑える部分が伊坂幸太郎っぽい。そして不意打ちのように胸に響く文章が必ずある。何よりも読んでいることがすごく楽しい。終末には伊坂幸太郎を読んでいたい、と思うくらいの。

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2006年3月30日 (木)

『永遠の出口』

森絵都の『永遠の出口』(集英社文庫)を読む。どこにでもいそうなフツーの女子・紀子の、小学三年から高校三年までの九年間のいくらでもありそうな出来事をぽつぽつ並べた小説。なんて説明は身も蓋もないですが、スタンダードな素材題材でここまで読ませる森絵都の手腕に唸る。多分著者と世代がほぼ同じで、そんな懐かしさも手伝って昔の自分をそこここに重ね合わせたりなんかしてしばしおセンチな気分に。あの頃漠然と感じていた、ああうまく言えないけどなんか悲しいとかなんかせつない、みたいな”なんか”の部分がちょっとはっきりした気がします。

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2006年3月29日 (水)

『チョコレートコスモス』

恩田陸の新刊『チョコレートコスモス』(毎日新聞社)を読む。”恩田陸が放つ、熱狂と陶酔の演劇ロマン”という帯の文句に一直線に食いついたもの。そしてそんな自らの食い意地を褒めたいと思った読後である。褒められるべきは恩田陸だがね。ワークショップ、エチュード、『夏の夜の夢』、柿落とし公演、オーディション...最初から最後まで芝居どっぷりな展開に、芝居好きならずとも頁を捲る手が止まらないこと必須。ありがちな連想で恐縮だが、北島マヤ&姫川亜弓を彷彿とさせる女優達や、どうみてもこれは野田でしょう的な演出家、若く野心ある学生演劇の面々などそれぞれが実にいきいきと描かれております。緊張と興奮も最高潮の大詰めは、正に手に汗握る大熱演であった。どうしようもなくひきつけられるけれど、どこか怖くもある恩田陸の芝居の世界を堪能させて頂いたよ。

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2006年3月14日 (火)

『都立水商!』

何年か前に『本の雑誌』で絶賛されていてぜしとも読みたいと思っていた、室積光の『都立水商!』(小学館文庫)がやっと文庫化されたので早速読んだ。歌舞伎町の東京都立水商業高等学校(通称水商)は、水商売のプロフェッショナルを育成するべく設立された。ホステス科、ソープ科、ゲイバー科などが設けられ、その道のプロを講師とするなどユニーク(過ぎる)な学校である。集まった生徒も問題児ばかり、この前代未聞の高校が一体どうなっていくのか!?といった按配の青春小説。ありえない学校でしょうが、あってもイイねと思わせる展開にわくわく。バカバカしい中にもさらっと&ドキっとまっとうな事が書かれており、案外侮れない。こんな突飛な設定で泣けて笑える小説を書いた大した著者は、金八先生にも教師役で出てたらしいよ。

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2006年3月 6日 (月)

『沖で待つ』

芥川賞受賞作、絲山秋子の『沖で待つ』(文藝春秋)を読む。キッパリしているけども内容の想像が全くつかないタイトルがとてもイイね。本筋とは関係ないかもしれないが、バブル入社総合職女子の一種独特の悲哀...みたいなものが同世代としてはほっとけなかった。同時収録の『勤労感謝の日』も、口の悪さがすかっとする一篇。これからもこっそり応援したい作家です。何故こっそり。

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2006年2月28日 (火)

『愛がなんだ』

角田光代の『愛がなんだ』(角川文庫)を読む。全力疾走片想い小説...と書かれてしまったら、片想いのプロ(威張れません)としては読んどかないとな!そんな臨戦態勢で臨んだわけだが、うーんこれは手ごわい。といいますか相当イライラするぞ。マモちゃんのことが大好きなテルコは、もう世界はマモちゃん中心にというかマモちゃんのみの為にまわっていて、呼び出されれば仕事中だって電車のない夜中だってすぐに駆けつけてどんな要求でものんでしまう女だ。バカバカ。その心理はわからなくもない。だがしかし。同じような超超片想いを描いた、絲山秋子の『袋小路の男』にはむのすごおおく感情移入してしまったのに、テルコにはイラつくだけっつうこの差は何なのだろう。そう深くは考えたわけじゃないが、マモちゃんに惚れる要素が全くないとこが原因か。袋小路の男はちょっといいなーとか思っちゃったもーん。というわけで自分のことは棚に上げて終始いらつき毒づきながら読んだバカ女であった。タイトルはイイね。

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2006年2月23日 (木)

『アナン、(下)』

飯田譲治・梓河人の『アナン、(下)』(講談社文庫)読了。スピリチュアルな分野って、取り扱いを注意しないとうっすら胡散臭くなってしまう気がするのだが、この小説は大仰な煽りも説教じみたところもなく、そのさじ加減が大層良いと思われた。わたくしは結構影響を受け易い人間であるに故、スピリチュアル・ファンタジーなんて書かれるとあらかじめ警戒してしまうのですが、アナンの前では心を開いてただ小説を楽しむことができた。それは精神世界を描きながらも、ストーリー展開が面白いからに他ならないと思う。面白がりながらリラックスして、内なる音楽に耳を澄ませると新しい世界が見えてくるかもしれない。ってほら、わしのような中途半端な奴が語ると胡散臭くなるでしょ....とにかく『アナン、』は色んな意味でエキサイティングだったっす。

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2006年2月20日 (月)

『アナン、(上)』

飯田譲治・梓河人の『アナン、(上)』(講談社文庫)を読む。数年前の『本の雑誌』で絶賛されていた為いつか読んでみたいと思っていたものがやっと文庫化。”初雪が降ったら、死のうと思っていた”という初めの文章から物語に引き込まれ、あれよあれよという間にぐいぐい読まされ、もう全然やめられない!おもおもおもしろいっす。その死のうと思っていたホームレスが産まれたばかりの赤ん坊を拾い、成り行きで育てることになるのだが、その子(アナン)の周りで不思議なことが起こり始め...みたいな話。ちょっとタイトルが”藤岡弘、”みたいだなと思われる方もおありでしょうが、アナンの”、”が何なのかは上巻ではわからず。下巻もすぐ買いに走る。嗚呼アナン、君は誰??続く。

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2006年2月15日 (水)

『熊の場所』

舞城王太郎の『熊の場所』(講談社文庫)を読む。お値段400円というとても薄い短編集だが、何しろ舞城王太郎なので濃ゆい。無茶苦茶でとんでもなくて混沌としている中に、時々ひりひりするみたいな剥き出しの何か。一筋縄ではいかない、相反する感情のホトバシリ。”恐怖を消し去るにはその恐怖の源の場所にすぐに戻らなくてはならない”という父の教えを胸に、猫殺しのまーくんに遭遇した少年はどんな行動に出るのか?など、オモシロ怖い3篇で400円は安いのかも。ややぐったりするけれども。

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2006年2月 7日 (火)

『黄色い目の魚』

佐藤多佳子の『黄色い目の魚』(新潮文庫)を読む。ううう、イイ小説だったなあ。湘南を舞台に、二人の少年少女が絵を通して少しずつ心を通わせていく、みたいな話。うまく言えないけれど、無駄に浮ついたり、必要以上にけだるさを押し付けたりしない感じがとても気に入った。嫌いなものばっかりだった少女・みのりに、好きなものがひとつひとつ増えていく様がなんだか泣けるね。ちょっとその頃の自分を重ねてみたりして。青くって頑なでいつも焦っててそれでもうどうしようもなくもがいてて、でもそんな不器用な姿すらどこか美しい十代。三田明?って古いなわしも。

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2006年1月29日 (日)

『78』

吉田篤弘の『78』(小学館)を読む。タイトルは”ナナハチ”と読み、78回転でまわるレコードを表す。蓄音機が奏でる78の音、聞く事ができない音、レコードが連れて行く様々な時間と場所。語り手は代わり、色々な話を紡ぎ、そしてその話からこぼれた話が再び微妙にリンクしていく。ずいぶん遠くまで来たなと思っても、度々訪れる既視感に気をとられているうちにいつの間に元の場所へ戻っていたり。そんな感じの、風変わりな小説でありました。いつもながら装丁含めて美しい本。またまた静かに絶賛。

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2006年1月22日 (日)

『狂桜記』

本日は横浜も雪。結構積もってた。一歩もお外に出てないのでわからんが。そんな一日、栗本薫の『狂桜記 大正浪漫伝説』(角川文庫)を読む。いずれ没落するしかないでしょう的な地方の素封家一族が暮らす桜屋敷で、次々と起こる悲惨な事件。著者が大好きな大正時代を舞台にしたゴシック浪漫てことですが、なんともやりきれん展開は正直きつかった。大正浪漫は嫌いじゃないのに、この読書に費やした一日を棒に振った感が濃厚です。唯一、虫干しの場面の着物の描写が美しかったのう。

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2006年1月16日 (月)

『砂漠』

伊坂幸太郎の『砂漠』(実業之日本社)を読んだのだが...。んもう、イイ!ビバ青春小説!!わし、大好きよこうゆうの。社会っつう砂漠に放たれて早18年の疲れきったおさるであるに故、今更楽しい大学時代を描いた小説なんて今いち乗れねえな、とは思ったさ。でもそんな先入観は間違いだったのさ。伊坂幸太郎だから書けた、ちょっと変わってるけどチャーミングな学生たちの、発想やら考え方やら動きやらがいちいち面白くていとおしくて正直参った。楽しいことばっかりあるわけじゃない、それどころかかなり辛いことやダークな事件もあったりなんかするんだけど、それぞれの持ち味がいい按配に作用していつも何とか乗り切る五人が、ほんと甲乙付け難く皆イイ。最初から最後まで彼らにヤラれっぱなしでありました。麻雀すらやりたくなったよ。この時代に伊坂幸太郎が居て良かったと本気で思う。

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2006年1月10日 (火)

『十字路のあるところ』

吉田篤弘の文章と坂本真典の写真による『十字路のあるところ』(朝日新聞社)を読む。どこかにありそうでなさそうな街の十字路から生まれた六つの物語は、どれもちょっとずつへんてこで不思議な味わいだ。さほど不条理臭くない稲垣足穂、みたいな。違うかな。気恥ずかしさを感じない程度のファンタジーが好みだ。その物語の”ほんとう”を裏付けようとしているのか、”うそ”を更に作り込もうとしているのか、あやうく存在している場所を写した写真がまた良い。こっそり絶賛。

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2006年1月 3日 (火)

『小美代姐さん花乱万丈』

群ようこさんの『小美代姐さん花乱万丈』(集英社文庫)を読む。群さんの三味線の師匠をモデルにした、浅草売れっ子芸者半生記。自ら選んで芸者の道に入ったのが14歳、厳しい修行や男絡みの苦労、東京大空襲等々確かに波乱万丈!でもどんな時だって前向きでからっと明るい小美代姐さんに男女問わず惚れるね。何気に大変そうな話であっても、淡々とした描きっぷりがかえって良い感じ。SAYURI、Oka-chang、小美代姐さん...芸者さんには興味津々です。

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2005年12月31日 (土)

『エンド・ゲーム』

恩田陸の『エンド・ゲーム』(集英社)を読む。不思議な能力を持つ常野一族のシリーズ第三弾は、『光の帝国』で登場した”裏返す”一家の新たな闘いの物語。一体彼らは何と闘っているのか、真の敵の正体は、そして”裏返す”とは何なのか??っつう、裏返しファン(?)にはこたえられない一冊となっております。やや込み入った感もあるが、この迷宮がなかなかよくできているんだなー。流石。常野の他の人たちの話ももっと読みたいです。

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2005年12月21日 (水)

『椿山課長の七日間』

浅田次郎の『椿山課長の七日間』(朝日文庫)を読む。嗚呼号泣。またしても次郎にヤラレました。過労で急死した椿山課長46歳は、己の死に納得がいかずに七日間だけ別のカラダを借りて現世に戻る。死んでみて初めて知った家族の秘密、色々なかたちの愛、親子の絆、自分の人生、そんなことごとくが堪らなく泣けたとです。人間にとって大事なことが沢山沢山書かれている本書を、日本人なら今すぐ読みたまえ。いや、威張ってはいかん。読んでみて下さい。生きることも死ぬことも、怖くなくなる気がします。

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2005年12月14日 (水)

『水曜の朝、午前三時』

蓮見圭一の『水曜の朝、午前三時』(新潮文庫)を読む。45歳で亡くなった女性が娘に宛てて残したテープには、彼女の若き日の恋が語られていた。美しく聡明で育ちも良い彼女に全く感情移入はできないながらも、読み進むうちになにやら説明のつかない涙がじわじわと...。大阪万博の頃の、ちょっと昔の物語がわたくしをひきつけてやまなかった。たまにはこんな小説を読むのも良いでしょう。

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2005年12月 2日 (金)

『青空感傷ツアー』

柴崎友香の『青空感傷ツアー』(河出文庫)を読む。むのすごい可愛いけど性格に難ありの音生(ねお)と、彼女にひきずられてばかりの芽衣、だらだらとした女子二人旅の模様を描く小説。美人の音生よりも、”あんまり考えずに行動するわりにはあとから文句ばっかり言って、努力は嫌いだけど僻みっぽくて、しかも自分のことを棚に上げて超面食い”とある人に称された芽衣に感情移入するも、それほど乗れず。全体的になんかイラッとくる。しかしこの美人の口から放たれる大阪弁の罵詈雑言だけはとっても気持ちがいいな!胸がすっとするわ。言われるほうにしてみたら256倍へこむと思うけど。

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2005年11月29日 (火)

『王国 その3 ひみつの花園』

ここんとこ二ヶ月くらい首が痛くて、ついに病院へ行ったとです。結果ヒドイ肩こりらしいんだが、リハビリで首吊りとか低周波とかやって未だ痛いよ。ほんとに治るのかよ。首も痛いが医療費も痛い。なんて思いつつ帰宅後、よしもとばななの新刊『王国 その3 ひみつの花園』(新潮社)を一気読み。嗚呼山ほどの薬よりも一冊のばななちゃんのほうが効きそうだ...。いつもながらシンプルで力強い言葉の数々に、静かに満たされていく感じが致します。今わしに必要なのは、雫石の作るお茶や入浴剤のような気が。

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2005年11月10日 (木)

『沙髙樓綺譚』

浅田次郎の『沙髙樓綺譚』(徳間文庫)を読む。資産家から任侠まで各界の成功者が集まる沙髙樓、そこでは彼らが吐き出すことの出来なかった”秘密”を語る会合が開かれていた。語る者は嘘偽りを言わない、聞く者は決して他言をしない、というルールのもと披露されていくお話は、どれも不思議でちょっぴりコワイけど途中でやめられない。しかしなーんか後味悪い、的な。撮影所の話が個人的には良かったな。沙髙樓ものは続編もあるらしい。

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2005年10月31日 (月)

『県庁の星』

面白そうだなーと思ってなんとなく買ってみた『県庁の星』(桂望実著/小学館)を読む。役人根性バリバリの、県庁のエリートが研修のため派遣された民間企業(っつってもスーパーマーケット)でどんなことをやらかしてくれるのか!?この根性直るのか!?そしてスーパーの面々にどんな変化をもたらすのか!?等々、異文化交流ぶりが予想できる範囲内だけど無難に面白い。いかにも織田裕二主演で映画にしそうな話だが。奴を思い出しながら読むのはシャクなので、エリートくんの”背が高い”描写の一点のみでアンガールズ田中をキャスティングして読んでみたら案外良かった。これから読む皆さんにも田中をお薦めします。

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2005年10月30日 (日)

『魔王』

待望の伊坂幸太郎新刊『魔王』(講談社)をやっと読んだ!休みの日に一気に読もうと思って、自分に焦らしを入れていたもの。そんなセルフ焦らしの甲斐もあって、ものごっつ集中してがっつり楽しんだ。楽しいばかりじゃないのが伊坂なんだケド。世の中の流れみたいなものの怖さ、そんな流れになし崩し的に追随してしまう怖さ、などの諸々に恐怖した。何よりも自分の頭で考えることをキモに銘じ、検索ばっかりしてないで思索しよう、ちゃんとしようと泣きながら思った。伊坂幸太郎、今年もわたくしを驚かせて唸らせて楽しませてくれてアリガトウ。

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2005年10月28日 (金)

『夢の中の魚』

五條瑛の『夢の中の魚』(双葉文庫)を読む。鉱物シリーズの外伝で、新聞記者でありスパイでもある洪(ホン)の物語。アクの強い登場人物ばっかしのシリーズ中では、憎めない感じで割と軽め...と見せかけてかなり危険な凄腕スパイの彼をフィーチャリングしてるのが興味深い。あー鉱物シリーズの続きが早く読みたいのう。

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2005年10月11日 (火)

『熱氷』

五條瑛の『熱氷』(講談社文庫)を読む。氷山ハンター(という職業があることを初めて知った)の主人公が、姉の残した子供を救うべく奮闘するみたいな話。そこへテロリスト・やくざ・武器屋・政治家などがフクザツに絡み合い、息詰まるラストを迎え...っつう、相変わらず男らしいストーリー展開であるわ。結構楽しめた。武器屋の兄妹が超キュート!別の作品でも出して欲しいなー。

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2005年10月 4日 (火)

『北村薫のミステリー館』

必殺読書人・北村薫プレゼンツ『北村薫のミステリー館』(新潮文庫)を読んだ。北村薫さんが選んだ、本格、絵本、短編、エッセイなど、どこか不思議で何かが残る変わった味わいの18篇。幅広い読書の守備範囲に脱帽っす。いや、守備範囲なんてないのか。寝る前にいっこずつ読むのも良いと思われます。私は岸本佐知子という人の文章がいたく気に入った。こうやって読みたいものが増えるのもまたアンソロジィの楽しみですな。

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2005年9月30日 (金)

『MOMENT』

本多孝好の『MOMENT』(集英社文庫)を読んだ。本多孝好は結構静かに好き。うっすらハルキな感じがする、と言ったら褒めてるつもりだけど著者的にはどうなのかな。病院で清掃のバイトをする大学生の主人公が出会う、最期の時を迎えようとする入院患者や残されるまわりの人たち。普段はあまり考えない”死”そのものについてや、”人は人生の終りに何を想うのか”といったことにきっちり向き合っているが、これみよがし(って言い方変だけど)じゃないところが良い。

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2005年9月20日 (火)

『東京奇譚集』

村上春樹久々の新刊『東京奇譚集』(新潮社)を読む。村上春樹に関してはイイしか言わないバカファンなので、今回もイイ、と。『品川猿』なんて、タイトルからして好きだな。やっぱり村上春樹の新刊が読めるってシアワセ。

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2005年9月12日 (月)

『東日流妖異変』

篠田真由美の『龍の黙示録 東日流妖異変』(祥伝社文庫)を読む。澁澤龍彦を彷彿とさせる著述家・龍緋比古(りゅうあきひこ)モノ第二弾は、キリスト伝説が残る青森のあやしい村が舞台。”御還り祭”という謎の儀式、奉られたものの正体、そして壮絶な闘い....いかにもな展開ではありますが、こーゆうのが好きならば楽しめます。私はなんだかんだ言って楽しめた。でもなんか大袈裟。伝奇ロマンなのだからそれがキモなのだろうが大袈裟。続きが出たらこれまた買うと思うけどね。

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2005年8月17日 (水)

『スプートニクの恋人』再読

夏休みも今日でおしまい。無為のままに終わっていくやるせない感じが村上春樹を読むのにもってこいだったので、久しぶりに『スプートニクの恋人』(講談社)を読み返す。”22歳の春にすみれは生まれて初めて恋におちた”、という書き出しで始まる数行がとっても好き。しゃらくさい、と言われようと好き。ところどころ噛み締めながら楽しんだ。話は知っていても何度も読みたい村上春樹である。

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2005年8月13日 (土)

『LAST』

夏風邪をひいとるんですわ。正直辛いんですわ。そんな中、石田衣良の『LAST』(講談社文庫)を読んだがこれまた辛いんですわ...ぎりぎりな人たちの瀬戸際の攻防っつうんですか。もうねー普通に暗い昨今、無理して暗い話を読みたくはない感じ。ここまで追い詰められていないにしても、景気の悪い話はわしのまわりにも充分落ちてるんだな、リアルにな。小説の中くらい夢を見たい気分です今は。弱っている為か甘ちゃんなおさるである。ごめんね衣良。

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2005年8月12日 (金)

『リヴィエラを撃て(上)』

ここ数週間ぽつぽつと読んでいた、高村薫の『リヴィエラを撃て(上)』(新潮文庫)やっと終わる。一気に読むべきだろうが実は高村薫はやや苦手...何を読んでも大作ですこぶる良く出来た話だとは思う。しかしおさるにはムツカシイのである。長いし。本作もIRAとかCIAとか諜報部員とかもう満載で入り組んでおります。しかしリヴィエラの正体は知りてぇ~!ので速やかに下巻を読むように、と自分に念押し。

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2005年8月 7日 (日)

『夏のこどもたち』

本を読むにはいささか暑い日々が続いておるので軽めのものを、と思い川島誠の『夏のこどもたち』(角川文庫)を読んだけれども。全然軽くなかったさ。子供は純粋で無垢で、なんてこれっぽっちも思っちゃあいないが、何かこんなに冷めてんの?小学生とか中学生。よくわかりませんでした。

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2005年8月 5日 (金)

『東京DOLL』

明日のサイン会に備えて石田衣良の『東京DOLL』(講談社)を読んだ。”完璧な人形”としての女の子と若き成功者のゲームクリエイターの出会い。スタイリッシュでクールな映像が浮かんでくるし、読んでいて確かに楽しいのだが...どこか不完全燃焼な感じが残ったなー。あと、衣良にしては結構エロかったです。万が一映画化なんてことになったら江國香織の『東京タワー』っぽくなりそうな危険な匂いがします。一番心に残った文章は”この世界でただの買いもの客として生きるほど空しいことはない”。痛いぜ。

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2005年7月28日 (木)

『ハミザベス』

やや気になる作家・栗田有起の『ハミザベス』(集英社文庫)を読んだ。なんだよハミザベスって...と思いつつ、なぜか心を掴んで離さないこのネーミング。なんとも微妙な魅力である。同時収録の『豆姉妹』は更にイケる。なによなによ?って言う間に起こる色んなことが、ハードに違いないのに淡々としていて笑っちゃう感じもあって。わたくしは栗田有起についてまだぜんぜんうまく語れないけれど、いしいしんじの解説が絶品だからそれを読むが良いさ、と思う。この解説だけで完成された作品のようです。こんなところで思いがけずいしいしんじのすごさを再確認。

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2005年7月18日 (月)

『アジアンタムブルー』

活字ジャンキーな友・複数から強力に薦められていた、大崎善生の『アジアンタムブルー』(角川文庫)をやっと読む。そして泣き。大切な人を失うことの痛さは、大切な人を失ったことのある人ではないとほんとうは分からないのかもしれない。でも誰にでも訪れるその時をどう過すか、そしてその向こうをどう生きていくかなんてことをしみじみ思わずにいられない小説であった。同じような題材でもセカチューとのこの違いは何でしょうか。ぜしその辺りも味わって頂きたいものよのう。

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2005年7月12日 (火)

『オテル モル』

なんだか気になっていた栗田有起の『オテル モル』(集英社)を、マンキー父に借りて読んだ。その存在意義、たたずまい、諸々の仕組みや宿泊客に至るまで相当変わっているホテル(フランス語でオテル)で働くことになった女子の物語。このような場所にある、このような風変わりなホテルの話を読むと、村上春樹みたいだなと思ってしまうのはハルキ世代の悪い癖か。否・角川春樹。つうわけで他の作品もぜし読んでみたい。

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2005年7月11日 (月)

『死神の精度』

やっとやっと、伊坂幸太郎の最新刊『死神の精度』(文藝春秋)を読む。直ぐに読んでしまうと勿体無い、とは思ったけれど読み始めたら一気であった。嗚呼勿体無い。タイトルが示す通りの死神のお話で、元来の暗~い死神的イメージとはやや趣を異にしたすっとぼけた死神(その名も千葉さん)のキャラが味わい深い。天使は図書館に集まるらしいが、死神の集まってくる憩いの場所もなかなか洒落ている。死をもたらすものだと言うのに、伊坂幸太郎作品にしては割と平和な時が流れている印象です。

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2005年7月 5日 (火)

『GOTH 僕の章』

乙一の『GOTH 僕の章』(角川文庫)を読む。角川商法?により何故か二分冊されているものの二冊目で、『夜の章』よりも更に更にダークであります。ここまで行くとやっぱりわたくしには理解不能。これからもこの主人公たちに感情移入は極力しないよう、距離を置いて暮らしたいものだ。とは思うがきっと忘れることはできない、なかなか強烈な作品。本格ミステリ大賞を受賞したらしいですが、本格って??よくわからない。

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2005年7月 3日 (日)

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』

泣きすぎて目が腫れた。リリー・フランキーの『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』(扶桑社)である。初の長編小説で、リリーくんの渾身の直球にがつんがつんヤラれた。タイトルが示す通りの親子三人の物語であり、とりたてて特別ではないけれど、親が子を又は子が親を思う気持ちという普通のことが大層強く胸を打つ。打ちまくる。ちょっと自分のオカンにも通じるものがある、愛すべきママンキーの人柄がたまらない。全部読み終えて、いい本だなあと改めて装丁やなんかを見ていたらそこにあった名前にまた泣けてきた。良かったねママンキー、と心底思った。

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2005年6月27日 (月)

『GOTH 夜の章』

やっと文庫になった乙一の『GOTH 夜の章』(角川文庫)を読んだ。人間の抱える闇に興味を持つ高校生の話、っつう説明はざっくりすぎるか。良識ある大人としては、奴らの行動は悪趣味で残酷だなんて言いたいとこだけど、全否定はできず。話の展開は読めそうで読めなくて驚きも有り。にしても何故にこんな薄い本を二冊に分けるんだ?角川商法?やや納得はいかないがここで終りにするわけにもいかず、続く『僕の章』も仕方ないから買う。角川め。

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2005年6月 7日 (火)

『光の帝国』

昨日『蒲公英草紙』を読んだら、『光の帝国』(恩田陸著/集英社・現在は文庫版もあり)にハゲしく呼ばれた気がして久しぶりに読み返す。信号待ちのわずかな時間も本を離せないほどにのめり込む。時々嗚咽したり。静かで強く優しく大きい、常野の人たちの生きざまがいちいち泣ける。彼らに幸あれば、わしらにも幸が訪れるハズ、としみじみ思う。いいっすよ。

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2005年6月 6日 (月)

『蒲公英草紙』

恩田陸の『蒲公英草紙 常野物語』(集英社)を読んだ。常野と呼ばれる、少し普通とは違った能力を持つ人々を描いたシリーズの第二弾がついに!というわけで即買い。前作『光の帝国』の続編だと勝手に思っていたら、違う時代の物語であった。こう来たか。にしても山河美しい田舎の、まだのんびりとしたその時代の雰囲気がなかなか良かっただけに、ラストのやるせなさが何とも....
『光の帝国』は恩田陸作品の中でもベスト3に入ると思う傑作なので、このシリーズはこれからもずっと読みたいなあと切に願う。

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2005年6月 4日 (土)

『白いへび眠る島』

三浦しをんの『白いへび眠る島』(角川文庫)を読む。今も色々な因習が根強く残る島・拝島を舞台に、幼なじみの”持念兄弟”である二人の少年が遭遇する不思議な出来事。13年ぶりの大祭が催される島に流布する、”あれ”が出たという噂や不穏な空気。三浦しをんお得意の、男子同士のアツくも微妙な関係性も良い感じである。ふふふ。おさる的には神社の次男・荒太さんがとっても好み!彼を主人公に続編なども書いて頂きたいくらい。

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