2015年12月20日 (日)

『ドルフィン・ソングを救え!』

樋口毅宏『ドルフィン・ソングを救え!』(マガジンハウス)を読む。恋してるとか好きだとか以前にこれは読まざるを得ない、あの二人組みにぞっこんだったオリーブ少女ならば。世を儚んで睡眠薬を飲んだ45歳未婚フリーターのトリコ(渋谷直角の『カフェ女(略)』で、これは自分だと思い絶望するあたりの場面から既に動揺する程のシンクロ率)が、何故かタイムスリップした89年で、憧れだったミュージシャン、ドルフィン・ソングの悲しい事件を阻止しようとする話。もう限りなくフリッパーズ・ギター!彼らへのオマージュ、そこここに散りばめられたコラージュに俺の中のオリーブ少女がアニエスb.のボーダーを握り締めてむせび泣いたよ。そしていちいち楽しかった。

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2015年8月24日 (月)

『水のかたち』

宮本輝の『水のかたち』(上下巻・集英社文庫)を読む。自分の50歳の誕生日祝いに150年前の文机を買おうとした普通の主婦・志乃子が、そこから始まる”善き出会い”を通じて思ってもみなかった人生の扉を開けていくみたいな話。ってあっさりまとめてはいかん程に沢山の要素が惜しげもなく盛り込まれた、読み応えのある小説。ただストーリーを追うのもわくわくするけれど、そこここに心を揺さぶられる言葉があり、立ち止まっては味わってゆっくりと噛み締めたくなる。志乃子と一緒に色んなことに気付き、何度も気付き、また違った眼で世界を眺めることの新鮮さ。そして、小説を読むっていいな、ということにも久しぶりに気付く。やっぱりテルすごい(呼び捨てるな)!

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2015年4月11日 (土)

『太宰治の辞書』

北村薫の『太宰治の辞書』(新潮社)を読む。17年ぶりのシリーズ新刊、”本に”というエピグラフだけで泣きそうだ。おこがましいが、私は自分をこのシリーズの《私》と重ね合わせていた。彼女ほどではないにしても本が好きで、本ばかり読んでいて、本を沢山読んでいるからって偉くもないとわかっているのに時としてうっかりさらけ出すディレッタントぶりとかアタマでっかちなところとか。この子、ちゃんと大人になれるのかな?と自分のことと共に心配だった。大きなお世話だ。果たして、小説の中にもきっちりと時は流れていた。《私》はなんとなく予想通りの、素敵な大人になっていた。作中には少女の頃の私がやはり激しく自分の事かと思っていた太宰の『女生徒』が登場し、もう出来すぎの同窓会みたいで感極まった。北村薫さんと、私を作った全ての本にありがとうと言いたくなった。おセンチにもなるっちゅうねん。

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2015年1月11日 (日)

『侠飯』

福澤徹三の『侠飯』(文春文庫)を読む。侠飯と書いておとこめし。ひょんなことから就活中のへたれ大学生の家に居候することになった極道の人が、ありあわせのものでちゃちゃっと作る男気溢れる料理や、こだわりの食材でばーんと振舞う凝った料理のくだりが一番の読ませどころ。ろくなものを食べていなかったろくでもない大学生が、食生活とか大人の男の説教によってどう変るかとかにはそんなに興味はないが(この大学生にさほど魅力を感じないからか)、もうひたすら極道の人の料理シーンが続けばいいなあと思う一冊。

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2014年10月13日 (月)

『あなたがいてもいなくても』

広谷鏡子の『あなたがいてもいなくても』(小学館文庫)を読む。タイトル買い。恋人(妻帯者)を亡くした主人公・倫子の、「あなたがここにいてほしい」のみならず「あなたがいてもいなくても」に至る気持ちの動きが丁寧に描かれており、こんな風に思えるような人に出会えて愛し愛されることが人間を強くするのだなと思い、ちょっと感動すらした。青いっすか。

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2014年4月26日 (土)

『女のいない男たち』

村上春樹の『女のいない男たち』(文藝春秋)を読む。村上春樹の新刊を読む、というのはそれだけでもうシアワセなので、何を言うべきや。どんなに気持ち悪い話でも、それで終わりかい!な話でも、結末に至るまでの全部の文章や言葉を楽しんでただただその世界に浸ることを無反省に自分に許して。これはもう恋なんだな多分。もう長いこと恋をしているので、冷静な判断など出来るわけがないのだ。

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2013年5月 6日 (月)

『昨夜のカレー、明日のパン』

何気なく復活。木皿泉の『昨夜のカレー、明日のパン』(河出書房新社)を読む。脚本家・木皿泉のはじめての小説っていったらもう買うしかないのだ、あのドラマ『すいか』がいつまでも胸の中に居続けるわたくしとしてはね。タイトルから既に良い。声に出して言いたいタイトル。力強いフォントとざっくりした装丁。イイね。勿論、話も良い。普通の生活と、誰もが多かれ少なかれ人知れず抱える悲しみ。どんなに辛くてもキツくても、生きている者は生き続ける。生きながら、大切な人の死をゆるゆると受け入れていく、その過程その方法が木皿泉の言葉にかかるとこんな風に!という驚きと、やっぱりの安心感。好きだなあ。

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2012年9月17日 (月)

『悪の教典』

貴志祐介の『悪の教典』(上下巻・文春文庫)を読む。生徒から絶大な人気を誇る爽やかイケメン教師・蓮実の、まさかの正体とは!?みたいな、もうほとんどホラーだホラー。こええええ。イヤな話だわーと思いつつ、でも全然やめられませんでした。こんな邪悪な話を夢中で読んでしまう自分は、もしかしたら根っこの部分が悪なのか?なんて若干後ろめたくすらなってしまい、変なところで必要もなく落ち込んだ。どうしてくれる。そしてこれ、三池崇史で映画化なんだってね...最強の監督を得て、ハスミンが更なるモンスターになること間違いなし。伊藤英明のハスミンもむのすごいはまり役な気がして、嗚呼こわいのもみたさで観ちゃうかも。

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2011年8月15日 (月)

『青年のための読書クラブ』

一週間の夏休みだよん。果てしなくだらだらして無駄に過ごそうと思います。いつもと変らないが。
桜庭一樹の『青年のための読書クラブ』(新潮文庫)を読む。伝統あるお嬢様学校の異端児たる読書クラブの面々が学園の裏歴史を記録するていの、100年の少女魂がスパークする傑作!こーゆうの好きだなあ。女子校ならではの甘やかで残酷な雰囲気、己をぼくという一人称で呼ぶ感じ、少女たちの中に”青年”を作ってしまうメカニズム、コンプレックスとプライド...嗚呼ちょっとこれ知っている。ずっと読んでいたい!と思ったけれど、幕切れも素晴らしく見事。今まで桜庭一樹って何か苦手だったんだけど、ちょっとした同族嫌悪だったのか?吃驚した。

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2011年8月 1日 (月)

『風花』

集英社文庫のナツイチの、ハチ・スタンプがとってもほすいのだー。しかし申し訳ないがナツイチのラインナップには食指が動かない、もしくはいいと思うものはあらかた買ってしまっているのだー。つうわけで無理矢理(って失敬な)、川上弘美の『風花』(集英社文庫)を買って読む。夫が浮気をしていることを知らされた妻が、今まであんまり考えなかった自分のこととか夫婦のこととかに徐々に向き合っていく話。浮気だと?きーーーっ!とかそーゆう修羅場もなく、何か終始ぼんやりしている妻・のゆり(面白い名前)に最初戸惑う。物語が進むにつれてそれが少しずつ変っていって、最後はそんなか!と若干驚く。女は強ええ、気がする。私はダメだ。考えただけで萎える。ハチ・スタンプ目当てで買ったけど、やっぱり川上弘美は変でスゴイ。

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