『ハヅキさんのこと』
川上弘美の『ハヅキさんのこと』(講談社文庫)を読む。独特な、不思議な味わいの短編集。地面から少し浮いているようなパッションのさじ加減が私は好き。他者にはわかり辛いひっそりとした情熱の持ちよう。嗚呼そんなていでいたい(が私には無理)。『昨日、ルノアールで』と平行して読んでいた為か、時折この本をルノアール妄想ものとして読んでしまうことがあったのだが、ほんとすみません。
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川上弘美の『ハヅキさんのこと』(講談社文庫)を読む。独特な、不思議な味わいの短編集。地面から少し浮いているようなパッションのさじ加減が私は好き。他者にはわかり辛いひっそりとした情熱の持ちよう。嗚呼そんなていでいたい(が私には無理)。『昨日、ルノアールで』と平行して読んでいた為か、時折この本をルノアール妄想ものとして読んでしまうことがあったのだが、ほんとすみません。
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垣根涼介の『借金取りの王子 君たちに明日はない2』(新潮文庫)を読む。リストラ請負人・村上真介シリーズ第二弾。リストラされる話なんてたとえひとごとであってもあまり気分良くないだろうけれど、そんな局面に対峙した人たちを丁寧にあたたかく描いた秀作と思う。真介の8歳年上の彼女とか、表題作に出てくる元ヤンキーのイカす女上司とか、結構イイ女が登場するのも買える。働いているといろんなことがあるし、明日何が起こっても不思議でないこのご時世ではあるが、とりあえず真摯に仕事しよう...とかうっかり思ってしまった。うっかりって何だ。
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昨日は仲秋の名月であった。夜には雨も上がり、よき月に酔っ払いながら一句。
「十五夜に八つ当たりしてハイボール 思い出さずに見ていたいだけ」 ...うーん俗だなあ。などと駄目出ししながら今日も引き続きひたすら月見飲み。
月に因んで一冊、浅田次郎の『月下の恋人』(光文社文庫)を読む。タイトル買い。ほろりとする話、え?結局何だったの?的な気持ち悪さが残る話、奇妙に美しい話など11篇の短編集。浅田次郎っぽいです。「忘れじの宿」が好きかな。
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桂望実の『Lady,GO』(幻冬舎文庫)を読む。地味で暗くて何事もネガティブに考えてしまい、自分にちーとも自信が持てず人の顔色ばっかり伺って生きてきた、自分嫌いの南玲奈。男にふられ、派遣先から切られ、進退窮まってキャバクラ嬢になり、場違いな職場でいろんな人たちに出会って成長したり少しずつ変わったりするっつう話。いちいちマイナス思考の玲奈に、これわたくしですか?ってくらいシンクロしてしまった...。まあその後の頑張りは俺にはないとこなんだがね。とりあえずキャバクラ嬢の営業努力というか成功のメソッドというか、結構勉強になります!何かと玲奈の世話をやくゲイのスタイリスト・ケイ(深沢あっちゃんを脳内キャスティング)がナイスキャラ。
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小路幸也の『東京公園』(新潮文庫)を読む。写真家を目指す大学生・圭司が公園で撮影している時に出会った家族連れ。奇妙な依頼を受けて都内の公園を転々としながら撮影を続けるうちに見えてくる、その家族のそれぞれが抱えている思い。そして圭司自身が気付く自分の気持ちや、彼を巡る人々の優しい視線。人と人とのもろそうでそうでもない強い関係を、小路幸也ならではの言葉で大事に丁寧に描く青春小説です。やっぱり小路幸也はイイ。登場人物みんなイイ。私は富永ちゃんになりたい。”私が好きな人たちみんなが幸せになれる方向へ”動けるような、富永ちゃんになりたい。何か毎日泣いてばっかり。
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樋口有介の『夏の口紅』(文春文庫)を読む。15年前に家を出た父親が死に、残された形見を受け取った大学生・礼司が、その意味と消息不明の姉の行方をさがすひと夏の話。樋口有介らしい、暑くてせつない夏の青春小説となっております。彼の描く男の子は、ちょっと皮肉の効いたしゃべり方で女性にもてて何か基本冷静でいつも余裕をかましている小憎い奴、っていうのが定番だが、礼司くんもその系譜。年上の恋人や一風変わったとびきりの美少女に翻弄されながらも結局最後のとこは曲げないんだよな。勝手気ままにやってるように見えても譲れない一本が通っているから、ひとのルール違反を許せないのもまあ説得力はあるか。ほんと可愛くない、けど憎めないのね。ちっ。
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平安寿子の『なんにもうまくいかないわ』(徳間文庫)を読む。タイトル、まんま最近のわたくし。と思って読んでみたけど、こう呟く主人公の志津子さん(42)は実はとてもパワフル!バリバリ仕事して人脈も豊富、惚れっぽい割りに未だシングル、それでも情が深くて可愛い女。なんでもあけすけにしゃべっちゃうから”私生活のない女”とか言われているが、その正直さはいっそ気持ちがいいほど。台風のように周囲の人々を巻き込んでは困らせたり迷惑かけたり、でも憎めないキャラ故か志津子さんの周りはいつもなんだかんだ楽しそう。なんにもうまくいかないのが人生かもしれないけど、それでもちょっと元気付けられる。「人の気持ちがつながるのは、ほんの一瞬だけ。でもそれは確かにあったことで、そう何度もあることじゃない。だから、大切。」なんて言葉に、涙が出ちゃう。アラフォーの同士にそっとお薦め。
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三浦しをんの『星間商事株式会社社史編纂室』(筑摩書房)を読む。青空をバックにすっくと建った社屋の写真に、全部漢字のおかたいタイトル、帯に「川田幸代。29歳。会社員。腐女子(自称したことはない)。社の秘められた過去に挑む!」そして裏には「社史編纂室でも同人誌を作ろう!」とあって購入を即決意。腐女子で同人誌、しをんちゃんでこのキーワードならきっとハズレなし、という予想は裏切られることはありませんでした。流石!社史編纂室という、いかにも左遷な部署のちょい癖ある面々が、駄目課長の下(というか何事にもつい真面目に取り組んでしまう幸代の采配で)社史を編むうちに会社の裏歴史を掘り起こてしまい...みたいな話。ぽよよん社員たちのすっとぼけた発言に、鋭くツッコむ幸代のひとことが笑えます。趣味を優先したいからと閑職に甘んじつつもとりあえず仕事はきっちりやり、勿論趣味にもがっつりのめりこむ幸代の生き様にぐっとくるね。嗚呼趣味があるってスバラシイ。自己肯定含め。
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今週のプチ・ニュース。五十嵐圭、日立からトヨタへ移籍!...え、どうでもいいすか?俺的には大ニュースなんだが。そういえばサッカーの陰で、案外全日本男子バスケは第1回東アジアバスケットボール選手権大会 兼 第25回FIBAアジア男子バスケットボール選手権大会 東アジア地区予選(長い!)を準優勝で通過してたりするんだよ...何故にこんなにもマイナー。寂しいっす。
さて本日は藤原伊織の『ダナエ』(文春文庫)を読む。もうイオリンの新刊は出ないのだなあとしみじみしながら読了。彼が残した珠玉の中篇三つは、いずれもちょっと頑固でへそ曲がり、しかしてハードボイルド臭のするおじさんたちが登場する。涼しそうな顔でわざわざ難儀な選択をしがちな彼らの行動なんかが、団塊親父たちの心を掴むのかしらとか思う。私は好きですけどね!
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山本文緒の『あなたには帰る家がある』(集英社文庫)を読む。まあ隣の芝は青い、っつう話?ちょっとせつないタイトルが良いね。でも山本文緒なのでそれなりの覚悟で...。気を逸らせない上手さがあるのですが、うますぎて結構どろどろが辛いんすよ。主に二組の家族の話で、どいつもこいつも少しずつ好かんたらしくてむかっ腹。それぞれの言い分もわからないでもないところがまた困る。結局どこの芝だって青いだけじゃないハズなのに、やっぱり隣の青い芝はいつまでもうらやましいのかも。
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