2016年1月11日 (月)

『読めよ、さらば憂いなし』

松田青子の『読めよ、さらば憂いなし』(河出書房新社)を読む。帯買い。「私たちには本と映画がある だから今日も生きていける」...正にその通り。そして憂いなし。紹介する作品から著者が拾う言葉がじんわりと良くて、読みたくなる・観たくなる。特にドラマ『すいか』のくだりは素晴らしい。うんうんうんうんと頷き過ぎて首が取れるかと。『すいか』ラバーに悪い人はいない。『すいか』だけで三次会まで飲める。嗚呼同志よ!

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2016年1月 5日 (火)

『『罪と罰』を読まない』

謹賀新年。今年は読んだらちゃんと記録として残したい所存です。
新春一冊目は、岸本佐知子・三浦しをん・吉田篤弘・吉田浩美の『『罪と罰』を読まない』(文藝春秋)。タイトルが秀逸。装丁は勿論クラフト・エヴィング商會なので素敵。未読の『罪と罰』を未読のまま内容を推理するという面白い試みだが、それのみで引っ張って果たして一冊の本になるのか?といううっすらした不安も、俺にとってはオールスター的な四人にかかれば無問題であった。それぞれ”らしい”発言が味わい深い。読書ってこんな楽しみ方もあるんだなー。でもやっぱり俺は、『罪と罰』は読まないと思う...

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2015年12月20日 (日)

『ドルフィン・ソングを救え!』

樋口毅宏『ドルフィン・ソングを救え!』(マガジンハウス)を読む。恋してるとか好きだとか以前にこれは読まざるを得ない、あの二人組みにぞっこんだったオリーブ少女ならば。世を儚んで睡眠薬を飲んだ45歳未婚フリーターのトリコ(渋谷直角の『カフェ女(略)』で、これは自分だと思い絶望するあたりの場面から既に動揺する程のシンクロ率)が、何故かタイムスリップした89年で、憧れだったミュージシャン、ドルフィン・ソングの悲しい事件を阻止しようとする話。もう限りなくフリッパーズ・ギター!彼らへのオマージュ、そこここに散りばめられたコラージュに俺の中のオリーブ少女がアニエスb.のボーダーを握り締めてむせび泣いたよ。そしていちいち楽しかった。

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2015年8月24日 (月)

『水のかたち』

宮本輝の『水のかたち』(上下巻・集英社文庫)を読む。自分の50歳の誕生日祝いに150年前の文机を買おうとした普通の主婦・志乃子が、そこから始まる”善き出会い”を通じて思ってもみなかった人生の扉を開けていくみたいな話。ってあっさりまとめてはいかん程に沢山の要素が惜しげもなく盛り込まれた、読み応えのある小説。ただストーリーを追うのもわくわくするけれど、そこここに心を揺さぶられる言葉があり、立ち止まっては味わってゆっくりと噛み締めたくなる。志乃子と一緒に色んなことに気付き、何度も気付き、また違った眼で世界を眺めることの新鮮さ。そして、小説を読むっていいな、ということにも久しぶりに気付く。やっぱりテルすごい(呼び捨てるな)!

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2015年4月11日 (土)

『太宰治の辞書』

北村薫の『太宰治の辞書』(新潮社)を読む。17年ぶりのシリーズ新刊、”本に”というエピグラフだけで泣きそうだ。おこがましいが、私は自分をこのシリーズの《私》と重ね合わせていた。彼女ほどではないにしても本が好きで、本ばかり読んでいて、本を沢山読んでいるからって偉くもないとわかっているのに時としてうっかりさらけ出すディレッタントぶりとかアタマでっかちなところとか。この子、ちゃんと大人になれるのかな?と自分のことと共に心配だった。大きなお世話だ。果たして、小説の中にもきっちりと時は流れていた。《私》はなんとなく予想通りの、素敵な大人になっていた。作中には少女の頃の私がやはり激しく自分の事かと思っていた太宰の『女生徒』が登場し、もう出来すぎの同窓会みたいで感極まった。北村薫さんと、私を作った全ての本にありがとうと言いたくなった。おセンチにもなるっちゅうねん。

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2015年3月 2日 (月)

『婚外恋愛に似たもの』

宮木あや子の『婚外恋愛に似たもの』(光文社文庫)を読む。女には二種類ある。2.5次元の男に本気で入れあげる女と、生身の男にしか興味がない女だ。前者ならば共感死にするかもしれないオモシロ本!後者でもきっと対岸の火事的にオモシロ本。登場する5人の女子はデビュー前のアイドルグループに夢中(これを小劇場の役者とか歌舞伎役者に入替えれば俺もシンクロ率120%)。富も美も知性も兼ね備えたクソセレブから真反対の残念な女まで、全く違うタイプの5人が、アイドルに本気の愛を注ぐという共通点のみでなんとなく繋がる様が、何だか笑えてそして可愛い。それぞれリアルの世界ではそれなりの不満とか悩みとか当然あるんだけど、彼らへの愛だけで今日もパワフルに生きていかれるんだよ。こんなシアワセの形も絶対あるね。女子に過剰な夢を見ている男子も読んだらいいよ。

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2015年2月22日 (日)

『64(ロクヨン)』

横山秀夫の『64(ロクヨン)』(上下巻・文春文庫)を読む。昭和64年に起きた誘拐事件(未解決)を当時担当していた元刑事・三上は、現在はD県警広報官。という彼の経歴がまず結構な波乱を含んだ複雑な設定で、広報官という仕事の難儀さや板挟みぶりの描写が続く前半は正直地味だ。しかしこれがじわじわと存分に効いてくる頃には、もう読むことをやめられない。組織内の理不尽なパワーゲーム、幾重にも絡み合った一筋縄ではいかない人間関係、記者との息詰まる対決。これでもかと押し寄せる山場にもうへとへとだよ!流石の横山秀夫。読み応えのある1冊であります。

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2015年2月15日 (日)

『エンプティスター』

大崎善生の『エンプティスター』(角川文庫)を読む。『パイロットフィッシュ』『アジアンタムブルー』に続く恋愛三部作完結篇、ということだが、前二冊を1センチも覚えてない...。でも特に支障はない。センチメンタルがトゥーマッチの上、なかなかハードな展開に反して割愛感が甚だしい。でももしかしたらおじさん受けはするかも。本書を読んでの一番の収穫は、鶯谷がスゴイことになっている!!ということかな。

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2015年2月 9日 (月)

『はるまき日記』

瀧波ユカリの『はるまき日記』(文春文庫)を読む。育児日記、興味ねえ...ハズなのだが、ことが江古田ちゃん作者によるものだと話は別!乳幼児が始めて行うあれこれに対するちょいちょい下ネタ寄りの感想や、その行為に付けるオリジナルなネーミングのセンスは、子どもがいてもいなくてもかなり笑えると思う。でも産後半年で起こった東日本大震災のくだりでは、人の親になるってこうゆうことかと圧倒された。本書を読みながら、良いことも悪いことも、想像もしなかった角度や全く知らない温度で感じられるなんて、子どもがいなくてちょっと残念...とまで思ったことに自分で吃驚したよ。

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2015年2月 7日 (土)

『盗まれた視線』

五十嵐貴久の『盗まれた視線』(双葉文庫)を読む。私がいいなと思うハードボイルド的探偵の条件は、へらず口だが独自の行動規範を持ち、女性に弱いか女性好き。吉祥寺探偵物語シリーズはその観点から言ってもかなりナイスなハードボイルドだと決め付けている。まあ厳密に言えば探偵・川庄はコンビニのバイトで、職業的探偵ですらないんだが。今回もストーカー被害にあっているらしい女子大生のボディガードを無償で引き受けるお人よしぶり...。しかし新宿のように鮫もいない、吉祥寺のゆるっとした雰囲気が、そんな探偵には似合っていてとても良い。

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