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2009年8月23日 (日)

『無銭優雅』

山田詠美姐さんの『無銭優雅』(幻冬舎文庫)を読む。むむむ。むむむ。やられた!姐さん、やれらましたよ完璧に。私はこんな恋愛小説が読みたかったのです。42歳という、主人公の慈雨ちゃんと同じ年で、今この時期にこの小説に出会えたのも更にシンクロできてよかったのかもしれない。これも運命!と思う。心中する前の心持ちで付き合い始めた慈雨ちゃんと栄の、ばっかみたいなのに年を重ねた者同士でなくてはこうはいかん恋の日々。うらやましい、すばらしい。この人たちは何がほんとうに価値あることか、かけがえのないものってなんなのか、わかってる。一緒に楽しんで味わって、片方の持っているものをもう片方が自然と吸収していって、どんどん無敵になっていく。そんなことが詠美姐さんにしか書けないであろうやり方と言葉で綴られている。私は本にマーキングする習慣はないんだけど、もしあったらばんばん赤線引いて本が真っ赤になっちゃうくらいにぐっとくる文章が目白押しなんだ。色恋沙汰だけじゃなくて、家族のことも曰く言いがたい愛情をもって大事に描いているのもすこぶる良い。慈雨ちゃんが語るように、老いることに引け目なんか、もう感じる必要はない。年を取ることに悲観的な友人にも絶対言ってあげたい。というわけで読み終わるや否やもう一度読み返している『無銭優雅』。年寄りにしかできない優雅を味わおうぜ、同胞よ。

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