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2008年4月15日 (火)

『花まんま』

朱川湊人の『花まんま』(文春文庫)を読む。昭和30年から40年代の大阪の下町を舞台にした6篇は、ちょっと怖かったりほろりとしたりする以外にも、曰く言い難い気持ちを呼び覚ます。例えば子供の頃を思い出す時、懐かしいというよりどこか不安定な気持ちになることがある。記憶が曖昧な部分に何かが不自然に隠されているような感じ。もしかしたら自分にとって都合の悪い出来事をなかったことにするために、事実を無理矢理捻じ曲げて覚えているのではないか。そうやって強引に忘れた時間の中で、自分はとてつもなく悪いことをしたのではないか。やったかやらないかわからない悪事への中途半端な罪悪感というか、ひたすら隠蔽する自分への嫌悪というか、そんな感情に潰されそうになる。全部妄想かもしれないけれど...。って一体どんな子供だったんだ、俺。わたくしだけかもしれませんが、読んでいるとこんな感じの不安に陥る小説であった。ちなみに第133回直木賞受賞作。

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