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2006年7月

2006年7月31日 (月)

『ニシノユキヒコの恋と冒険』

川上弘美の『ニシノユキヒコの恋と冒険』(新潮文庫)を読む。稀代のろくでなし・西野幸彦を10人の女子が語る短編集。”女自身も知らない女の望みを、いつの間にか女の奥からすくいあげ、かなえてやる男”、それがニシノユキヒコ。うーんやなやつだ、がしかし...わかっちゃいてもままならぬ女子の気持ちと、どこまでも掴み所がなく清潔なニシノユキヒコの、真剣だろうに愛せない悲しみがなんだかぐっとくるのであった。くらたまが書いたらだめんずウォーカーになるテーマが、川上弘美だと文学になるのだなあと感心。

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2006年7月30日 (日)

『QED 六歌仙の暗号』

薬剤師タタルさんの歴史の闇解明シリーズ(?)第二弾、高田崇史の『QED 六歌仙の暗号』(講談社文庫)を読む。”七福神に呪われている”らしい明邦大学での連続怪死事件と、六歌仙&七福神についての謎と、両方解き明かしてしまうタタルさんの相変わらずな頭脳に吃驚どす。平安時代に遡って綿々と語られる膨大なデータに時々話を見失うも、多分これで正解!って感じのタタル説にいちいち納得。六歌仙と言えば在原業平や小野小町、歌舞伎の舞踊でお馴染みの文屋や喜撰などを思い出すが、彼らにはこんな背景があったとは...くわばらくわばら。そういえばタタルさんの苗字は桑原なのな。

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2006年7月29日 (土)

『星降る森のリトル魔女(1)』

めるへんめーかーのマンガが好きだった、と告白するのは何故か気恥ずかしい。英国とかファンタジーとか魔法の国とか、浮世離れした世界と可愛いもの満載で眼鏡男子度が高い絵が大層好みで、隅々までとっくりと眺めたものであった。しばしば描かれる”所狭しと積まれた書籍の図”には、作者のお気に入り本のタイトルが小さく書き込まれており、そこをチェックしては図書館で探して読んだりもしていた。わたくしのメルヒェンな部分の何割かはめるへんめーかーに因って作られたと言えましょう...。そんなめるへんめーかー(この平仮名表記がいちいち微妙に照れるのかな)の『星降る森のリトル魔女(1)』(朝日ソノラマ)がマンガ文庫になりましたのでそっと買って読んでみました。ほぼ20年前の作品になるらしい。...星降る森の遠さに目眩。

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2006年7月28日 (金)

『人生激場』

井上ひさしぶり~(←しをんギャグ)の文庫化、三浦しをんの妄想エッセイ『人生激場』(新潮文庫)発売で即買い即読み。ワールドカップに夢中になるしをん(四年前の話)にはなんとはなしに裏切られた感を抱いたが、選手同士の抱擁をぐへへと眺めるとかラテン系選手の体毛ばっかし注目してたりとかその明らかにヨコシマで間違った鑑賞法にほっとした。それでこそしをんだぜ!勿論褒めてます。ところで直木賞を受賞したからか、このところ本屋ではしをん本が勢いよく平積みされている。これを機会に、知恵の森文庫から出てたが品切れ重版未定になっていたエッセイもぜし復活させて頂きたいものだ。今なら売れるぞ。

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2006年7月27日 (木)

『寺暮らし』

森まゆみの『寺暮らし』(集英社文庫)を読む。著者は地域雑誌『谷中・根津・千駄木』の編集人。寺の境内に建つマンションに引っ越した著者と子供三人の”寺暮らし”を描いたエッセイで、読んでいてなかなかゆったりとした気持ちになる。著者の語る人生の先輩たちの生きざまに感じ入ったり、地域に根っこを張って暮らすということを考えたりする。浜っ子はあんまり東京には憧れないけれど、江戸の匂いがするこのあたりの町にはちょっと弱いにゃー。

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2006年7月26日 (水)

映画『ダ・ヴィンチ・コード』

洋画のカテゴリーがないのでとりあえずアートのくくりで。映画『ダ・ヴィンチ・コード』をやっと観た。長い!のだがそれでもはしょった感がある。原作はよっぽど長いんだなーと妙なところで納得。色々言われていたけれど、小説をそのまま分かり易く眼に見える形にしてくれたのでわたくしには単純に有難かった。失笑を買ったらしいラストシーンも、ちょっと感動すらしたぞ。知ってたけど吃驚する結末だ。多分わたくしはカンヌ向きではないんだな。

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2006年7月25日 (火)

『配達あかずきん』

大崎梢の『配達あかずきん 威風堂書店事件メモ』(東京創元社)を読む。駅ビル内の書店・威風堂の社員・杏子とバイトの大学生・多絵が、書店で起こるちょっとした事件の謎を解くという、本屋さんあるいは本好きにはたまらん設定のミステリ連作集。あるコミックを買った後失踪した婦人は一体何処へ?お見舞い用にナイスなセレクトをしたという書店員の正体は?などなど、本絡みの謎解きも実にわくわくだが、書店員の仕事や日常の描写にも普通に食いつくわたくしである。というのも似たような感じの書店でバイトしていた事がある為で、そうそうそうそうそうあるあるあるあるあるとしつこいくらいに激しく肯き呟きながら楽しく読了。うろおぼえで目当ての本を探せと言ってくるお客さん、雑誌を見ながらメモをとったりするご無体な輩、ものすごおおおくたくさん取り置きをしている人(早く引き取って~)、可愛いバイトをお茶に誘うおじいちゃん...嗚呼懐かしくて涙が出そう。そして似たようなことは全国どこの書店にもあるんだなあとしみじみしちゃった。主要登場人物があんまり好みではないのだが、とりあえず早くも続編希望!

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2006年7月23日 (日)

『FINE DAYS』

この人の小説って村上春樹っぽい、と読む度に思ってしまって、かような感想は作者に対しては失礼なのかもしれないけれど、でも文庫になると絶対直ぐに買うからやっぱりこの人の小説が好きなんじゃん私、と今では確信している。好きならハードカバーで買えよって話もあるがまあそこは目を瞑って、とかなんとか前置きが長いあるね。そんな本多孝好の『FINE DAYS』(祥伝社文庫)を読む。著者初の恋愛小説集...らしいが、そこは本多孝好なので全然一筋縄ではいかないっす。ちょっとホラーっぽいもの、SF的な味付けのもの、御伽噺めいたものもあり、先の展開にどきどきする。ついつい先のことを考えてしまうのはすれたミステリ読みの悲しい性だが、ただストーリーに身をゆだねて本多孝好世界を楽しめばそれで良いな、と珍しく思う。

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2006年7月22日 (土)

『タイムスリップ明治維新』

昨日に引き続き、鯨統一郎の『タイムスリップ明治維新』(講談社文庫)を読む。前作でモリリン(森鷗外ね)を助けてあげた女子高生・うららが、今度は幕末の江戸へと飛んでしまう。桂小五郎や坂本龍馬、勝海舟ら明治維新の立役者たちと共に倒幕へと奔走するうららは無事現代へ帰れるのか!?みたいな話。若干設定に無理を感じなくもないけど、概ね楽しめたのは幕末ものが好きだからかな。ちなみに第三弾は『タイムスリップ釈迦如来』らしい...

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2006年7月20日 (木)

『タイムスリップ森鷗外』

クドカンの昼ドラ『吾輩は主婦である』が終わってしまって寂しい今日この頃、なんとなく鯨統一郎の『タイムスリップ森鷗外』(講談社文庫)を読む。ちょっと似てるかなと思って。こちらは何者かに殺されかけた森鷗外が、現代の渋谷にタイムスリップしてしまうっつうストーリー。いまどきの女子高生との若干噛みあわない会話や、案外順応性がある鷗外の、えええっこんなこともやっちゃうの!?的な行動など結構楽しめる。一応犯人探しな要素もあるので、リサーチの為現代の流行りのミステリなんかも読み漁る鷗外が、清涼院流水の『コズミック』を読んでいたのには笑った...どんな感想を持ったのかぜし聞いてみたいところだ!

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2006年7月18日 (火)

『仔羊の巣』

ひきこもり探偵シリーズ第二弾・坂木司の『仔羊の巣』(創元推理文庫)を読む。あああああ青いっす!でも青いが悪いか!と、その青さすら愛してしまう。生きてると色々あるけど、ひとりじゃないよー、まんざらじゃないよー、みたいな、ほんとこんな風に底の浅いわしが語ると胡散臭くて説教臭くて邪魔臭いの臭い三重奏になってしまうのだけど、きちんきちんと順序だてて叱ってくれたりこんがらがった糸を解きほぐしてくれたり励ましてくれたりする実にまっとうな小説(一応ミステリ)なのであります。はじまりは、ひきこもりの鳥井&彼の側にいようとする友人・坂木の二人だけの世界...ぽかったけれど、ストーリーが進み他者との関わりを経てだんだん仲間のような人たちが増えていくのがなんとも宜しい感じ。諸々、信じてみたくなる。そんなわしもまだまだ青いかー。

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『支那そば館の謎』

北森鴻の『支那そば館の謎 裏京都ミステリー』(光文社文庫)を読む。京都嵐山の貧乏寺・大悲閣千光寺の寺男をしている有馬次郎が、元の職(ちょっとした裏稼業)を生かしながら寺に持ち込まれる奇妙な事件の謎を解く、っつうミステリ短編集。何しろ北森鴻であるに故、作中で有馬たちが居酒屋・十兵衛で食べる料理はとっても美味そう!日本酒に合いそう!専らその点が楽しみだったりする。ちなみに大悲閣千光寺は実在するとのこと。ぜし行ってみたいものだのう。

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2006年7月16日 (日)

『七番目のユニコーン』

ケリー・ジョーンズの『七番目のユニコーン』(文春文庫)を読む。めっきり翻訳物に手を出さなくなった昨今ではあるが、美術ミステリな匂いがしたのと、翻訳が松井みどりさんだったので買ってみたらなかなかハマった!主人公はパリのクリュニー美術館の学芸員アレックス(三十代半ば・子持ち・未亡人・美人)。リヨンの修道院から発見された古いタペストリーは、クリュニー美術館に収蔵されている”一角獣と貴婦人”シリーズの七枚目なのか?タペストリーに秘められた中世の恋と、その謎を追いながら変わり始めるアレックス自身の人生が正に美しく織り上げられたロマン溢るる一冊...なーんつって大袈裟か。プロローグからエピローグに至るまで、かなり予想しやすいストーリーではありますが、それでも充分楽しめる。クリュニー美術館で一角獣シリーズのタペストリーは見たハズなのにあまし覚えていないという、勿体無いおさるであった。今ならきっと感動するね。

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2006年7月15日 (土)

『ハチミツとクローバー(9)』

約一年ぶりの新刊!羽海野チカの『ハチミツとクローバー(9)』(集英社)を涙しつつ読む。なんかいきなりの、怒涛の展開!これほんとにハチクロなのか?的な。嗚呼...。初版はミドリちゃん(犬)マグネット付きどす。
ところで妄想番長・三浦しをんが直木賞受賞。久々の20代と聞いて、わかってはいたけど改めてしをんて若かったんだ!と驚く。妄想エッセイを読んでいる限りでは同世代...って気がいつもしちゃうから。あと伊藤たかみと角田光代が夫婦ってことにも普通に吃驚。伊坂幸太郎の『砂漠』については”詰めが甘い”みたいな選考委員のコメントがあった。お前が言うな、とちょっと思う。

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2006年7月14日 (金)

映画『間宮兄弟』

映画『間宮兄弟』を観に行った。二人で暮らす佐々木蔵之介・兄と塚地武雅・弟の仲良しな日々。この仲の良さは実際にはありえないのやもしれんが、男二人の兄弟っていいなあと心底羨ましくなるような関係であったよ。常に二人でビデオを見たりグリコをしながら餃子を食べに行ったり一日の反省会をしたり。私も間宮兄弟のカレーパーティーに呼ばれたい!と切に願う。かなり笑ったわ。

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2006年7月10日 (月)

『海のふた』

よしもとばななの『海のふた』(中公文庫)を読む。今は観光客もまばらなふるさと・西伊豆の小さな町で、かき氷の店をやることにしたまりと、その土地へひと夏を過ごしにやってきたはじめの静かな物語。いろんなことに疲弊を感じたらばななちゃんを読むといいと思う。シンプルな言葉で語られる大切な事が、まっすぐに伝わってくる。ちょっと洗われた気がします。

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2006年7月 9日 (日)

『かび』

山本甲士の『かび』(小学館文庫)を読む。姑のイヤミや幼稚園の送り迎えでのトラブル、家族との確執など諸々の怒りを我慢し鬱屈した毎日を過ごす主婦が、あることがきっかけで各方面に報復するっつう話。長い間虐げられた者が突然キレて反撃し始めるというのはそれなりに溜飲が下がるけれど、そう思うのも一瞬のことでやっぱり復讐ものはまとめがムツカシイ...。どっちに転んでもなんとなーくいやな感じが残る故、まあ読まなくてもいいかなー的な。とっても練られていて一気に読ませる小説ではある。

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2006年7月 8日 (土)

『IKEA ファンブック』

今更ですが先週、船橋のIKEAに行き、あっさりIKEAにココロを鷲掴みにされたおさるである。スウェーデン発、家具や雑貨の巨大スーパーみたいな感じなんだが、安くて機能的でデザインが良くて、終始物欲に火をつけられまくりんぐ。ぼーぼー。でもちょっと船橋は遠すぎるので頻繁には行けないなあと、楽しかったショッピングの思い出を反芻するのみの日々を送っていたわたくしが本屋でみつけたのが『IKEA ファンブック』(森井ユカ/河出書房新社)!IKEAマニア歴12年という雑貨コレクターの著者が、世界のIKEAとその雑貨の魅力をあまねくレポートした一冊。すすすすばらしい。しかし本書を読んでいると、嗚呼これもあれも買えば良かった!!っつう後悔もそれはもうどおおんと押し寄せる。結局また行きたくてたまらんよ!と思ってしまう罪作りな一冊とも言えますな。

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2006年7月 7日 (金)

『灰色のピーターパン』

うひゃー久しぶり!石田衣良の『灰色のピーターパン 池袋ウエストゲートパークⅵ』(文藝春秋)を読む。やっぱりIWGPシリーズは格別だ。面白さは最早安定期に入ってるとも言えるが、マコトさんはまだまだ安定とは遠い所で暴れているぞ。盗撮ビジネスに励む小学生、ホストに貢ぐ女子大生、暴力と復讐、池袋風俗浄化戦争...物騒なワードばかりなのに、マコトの流儀で片をつけられたトラブルの読後はスッキリ。そういえば今日は確か池袋の書店で衣良のサイン会があったハズ...池袋はちょっと遠いのでパスだったけど、直接衣良におもおもおもしろかったっす!と言いたかった気もします。

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2006年7月 5日 (水)

『二枚目』

松井今朝子さんの『二枚目 並木拍子郎種取帳』(ハルキ文庫)を読む。れっきとした武家の次男坊である拍子郎は、人気狂言作者・並木五瓶の弟子となって芝居町に暮らしながら町の噂や話のネタを集めている。そんな中で遭遇する事件を、時に師匠や芝居仲間、料理茶屋のおきゃんな娘・おあさ、同心の兄の力を借りつつ解決していく捕物帖シリーズ第二弾であります。芝居に関わる人たちの暮らしがいきいきと描かれているのも楽しいし、捕物帖としても秀逸。ひょろっと背が高く、おっとりした顔立ちにスルドイ切れ長の目が笑うと可愛いっつう拍子郎の外見もかなり好み(おさる的には升一さんをキャスティング)。親しい口を聞いてるのにあと一歩が踏み出せない女子とのもどかしい関係が今後も気になるぜ。でも拍子郎さんはずっと独り身でいてくれても構わなくてよ。

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2006年7月 4日 (火)

五回目の

季節のお買物(バーゲンですな)や、そろそろ佳境に入ってもいい頃合いのFF、新しい自分探しの旅などに忙しく、なかなか読書が進んでいないおさるです。そういえば第135回の芥川賞・直木賞の候補作が発表されていた。五回目、と言うのは伊坂幸太郎。案外五回もノミネートされているのか。今回は『砂漠』が候補作ということですが、この小説好きだなあ。いいよなあ。この辺で伊坂幸太郎に直木賞を差し上げてみないか。

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2006年7月 2日 (日)

『ロンド(下)』

柄澤齊の『ロンド(下)』(創元推理文庫)読了。熱くてひんやりとした、ある種矛盾した感情を伴う読後感にぐったりとする、精神的にまだまだ弱いわたくしであった。上巻を読んでいる時には幻の絵画「ロンド」を見てみたいと狂おしく思ったが、今やわたくしはその絵が実在したとしても見る勇気がありません。なんてことを真剣に思う程入り込んでしまった。読む者をこちら側と彼岸との狭間に立たせ、更に暗い淵へと誘うキケンな小説かも。とにかく美術作品を文章で描写するその表現力がただの著作家とはひとあじ違うと感じた。なんか、ほんとに見えてくるんですわ、「ロンド」が....。そしてそこにまとわりつく「死」の気配に飲み込まれそうに...。そんな怖さがあるミステリであった。秋に、著者の回顧展が神奈川県立美術館で開かれるとのこと。版画家・柄澤齊の作品もぜし見たいと思うけれど、「ロンド」があったらどうしよう。既に少し怯えてます。

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2006年7月 1日 (土)

『ロンド(上)』

大作の予感...!柄澤齊の『ロンド(上)』(創元推理文庫)を読む。実物を見た人間はわずかしかいないと言う幻の絵画「ロンド」。それを描いた画家・三ッ桐が交通事故で亡くなり、時を同じくして絵画の所在もわからなくなっていたが、美術館学芸員・津牧が企画する三ッ桐の回顧展が近付いたある日、彼の元に未知の画家から個展の案内が届いて....という発端から美術ミステリ好きにはツボ&ツボ&ツボ。ストーリーもさることながら、美術館や画廊の裏側、作家という人種とその思い、キュレーターの心得など美術業界を巡る諸々がとても興味深い。幻の絵画のくだりひとつとってもまるでそこに存在するかのような緻密で詩的な描写が見事で、観てみたい、という焦燥感に駆られる。著者は一体何者?名前も読めないし、と思って著者紹介を見てみると、”現代日本の版画界を代表する一人”とあった。本人、ゲージツ家!なるほど、と納得すると同時に、どうしてこんなミステリが書けるの?とまた新たな疑問が....。底無しの才能なのか。更に期待しつつ下巻へ。

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